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隠密

 最近寒いですね。秋を感じます。てなわけで投稿。

 静かに決行された作戦。それは浅間ひよりが中心となり、関所内にいる警備を静かに殲滅。全員いなくなったことを確認したら、満を持して田中伸太が関所内に入り、そのまま神奈川派閥を離脱するといったものだ。


 この作戦に置いて、重要になるのは、やはり浅間ひよりである。なぜなら、この作戦は浅間ひよりが失敗しないことを前提とした作戦であり、浅間ひよりのさじ加減ひとつで失敗してしまうからだ。



 そんな作戦のキーパーソンである浅間ひよりはと言うと……



「……はぁ」



 関所の前で、具合が悪そうに前かがみになっていた。


(緊張するなぁ……)


 久々の自分中心の作戦に、ガチガチになっていたのである。


 そうこの女、田中伸太が神奈川派閥に潜入する前は、上層部に嫌われ、まともな任務を回してもらえなかったのに加え、田中伸太が来た後も、結局は田中伸太が中心の作戦が多かったため、自分が中心となる作戦への免疫が、あろうことか大幅に低下していたのである。


 そのため、体ガチガチ手先ブルブル、頭が痛くなると言う最悪のコンディションをマークしていた。


「うう……」


 それでも彼女は元黒のポーン。いくらコンディションが悪いとは言え、それでも普通以上の強さはあるはず。関所を崩すぐらいの力は見せてくれ……


「……へくちっ!」


 ……る、はず! たぶん!!


「ううんと……関所は……」


 浅間ひよりたちがさっきから言っている関所というのは以前、田中伸太とハカセが東京派閥から神奈川派閥に行く時に通過した検問。あれを進化させた物だ。


 見た目はそこら辺にある建物とあまり変わりなく、特別感もない。無理矢理何かに例えて言うなら、小さめの市役所だろうか? まぁとにかくそんな感じだ。


「……まぁ、私である理由はわかっていますし……行くだけ行ってみますか……」


 誰にも聞こえないほど小さな声で独り言をつぶやくと、浅間ひよりは一気に跳躍。月の光に照らされながら、当たり前のように空中に滞空した。


(入るとしたら……やっぱり非常口ですかね)


 浅間ひよりはそう考え、建物の壁に外付けで設置されている非常階段に降り立ち、非常口のノブを握った。


「ふん!」


 可愛らしい声とは裏腹に、声に合わせてすごい力で回されたドアノブは、ボキリと不穏な音を立て、ドアノブとしての役割を終えた。


 無理矢理ロックが解除された非常口の中を確認するため、ほんの少しだけドアを開き、中を確認する。


「……よし、やっぱりいない……」


 浅間ひよりの発言から考えるに、浅間ひよりは非常口の周りの人間がいないことを予想していたようだ。


 非常口は廊下の奥や部屋の隅など、人があまり通らない場所に設置されていることが多いため、安全に入る可能性が高いと踏んだのだろう。


 通常、人が中から外に脱出するために作られた非常口を逆に利用する。なんとも皮肉なものである。


 それから少しして、天井裏に入るための穴を天井に見つけた私は、即座に天井裏に侵入し、人がせわしなく動き続けるオフィスへと続く通気口へと到着した。


(よしっ……)


 通気口越しに誰もこっちを向いていないことを確認した浅間ひよりは、音を立てないよう、ゆっくりと通気口を開け……


「オーラナックルっ」


 オフィスのテーブルごと、大量の人間の体をひしゃげさせた。


 



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