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払拭

(合気……!? これが!?)


 合気道。体験したことはないが、東一時代の体育の授業で聞いたことがある。どこ発祥かは忘れたが、相手の力を利用した武術だったはずだ。


 正直、白のクイーンから言葉を聞くまでは、記録の片隅にすら置いていないほど忘れかけていた存在だった。


 まさかスキルが蔓延る現環境で、そんな太古の技術が通用するわけがないと思っていたからだ。


 が、事実はまるで逆。スキルをふんだんに使っていた俺は地面に叩きつけられ、ほとんど受けにしか使わなかった白のクイーンは合気道だけで俺にダメージを与えている。


(こんなことなら、俺も合気道についてもう少し頭に入れておくんだった!)


 いまだに力は入らない。だが、力が入らないだけで、体を動かすことはできる。


 今のところ、まだ俺の体は掴まれている左手から合気を決められている。裏を返せば、左手以外は自由と言うことだ。左手以外。それは体の過半数が使えるなら、いくらでも攻撃手段はある。


(力が入らなくても、攻撃手段はあるんだよ!)


 俺はぶっ倒れたまま、自由の右腕を鞭のようにしならせ、勢いよくスナップさせる。


「フッ!!」


 空気を一気に吸い込み、鞭化させた右腕を白のクイーンに向けて一気に射出する。


 その速度は人間の目では到底追うことができない速度。目で追うことができないなら、イコールで回避することは不可能だ。


 そんなこんなで、右腕の鞭は見事に白のクイーンの腕に激突。力は無いため威力は無いものの、ノックバック力はかなりのもの。少なくとも、左手を離させるのには成功した。


(ボヨンとした感触……まさかとは思ったが、腕もか)


 肝臓レバーを叩いた時に感じた水風船のような感触。肝臓レバーは比較的肉が多い部分のため、当たり所が悪かったのかとも思ったが、まさか腕にも同じ感触を感じるとは思わなかった。


(これじゃあ打撃はダメージ期待できないぞ……)


 打撃でのダメージが期待できないのは、俺が戦うのに最悪の相性だと言うことを意味する。


 何故かと言うと、俺の主な攻撃手段は打撃で、それ以外の攻撃手段は、精々スキルを使って尖った物体を投げつけるか、黒剣を呼び出して斬りつけるかぐらいしかなかった。


 もともとそれぐらいしかなかったのに、その2つの選択肢の1つである黒剣は黒のキング戦でへし折られてしまった。もう俺の選択肢はちょっと尖った石を投げつけるぐらいしかない。


「…………ここだな」


(ここが……頭の使い時!)


 今こそ、黒のキング戦での反省ポイントを直す時だ。


 


 

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