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情報と、なりふり構わず

 白のクイーンが無防備なところに右ストレート。それは面白いほど気持ちよく顔面に突き刺さり、白のクイーンの顔面は、頭より下の体ごと後ろにぶっ飛び、建物の壁へと陥没していった。


(この程度の威力になってしまったが……致し方あるまい……)


 スキルを込めた俺の拳なら、殴った対象物を吹っ飛ばしたのち、この程度の建物を3つほどぶち破るぐらいの火力を出せる。


 だが、今の俺は袖女とブラックを含め、逃げている身だ。そんなタイミングで建物をいくつも破壊するほどの火力で戦っていては、あまりにも簡単に俺たちがここにいるとばれてしまう。そうなってしまっては、白のクイーンの増援がくるスピードをわざわざ自分から早めてしまうことになる。それはあまりにも浅はかだ。


 被害を出さずに戦うには、自分の力をセーブするしかない。





 セーブするしかないのだが……





「ふーっ……危ないなぁ、もう! 話し中だよ!」


(手抜きの拳では……殺せない)


 当然と言えば、当然の結果。相手は白のクイーン。チェス隊のトップに立つ存在だ。それが俺の、しかも手抜きの拳でダウンするなど、ありが人に勝つぐらいありえないことだった。


(……けど、情報は取れた)


 情報の内容。それは俺の拳によるダメージを軽減した方法にある。


 建物に陥没し、そこから体を持ち上げる時、何か少し薄めな膜のようなものが見えたのだ。


 膜と言っても、はっきりと『膜』だとわかるような、半透明のものでは無い。どちらかと言うと、薄いレンガ。城の壁を人並みのサイズにして、厚みをハーフにしたものに近い。


 近未来感のある神奈川派閥の街並みにそぐわない古代西洋の建造物。それは自然発生したものでは断じてない。100パーセント確実に白のクイーンの能力によるものだった。


(白のクイーンの能力は、壁のようなものを出す能力だと仮定すべきか……手抜きをしたとは言え、俺の一撃を耐えたところを考えると、見た目以上の硬度はありそうだな)


 単純に壁を生み出す能力。単純故に強力かつ自由度の高いスキルだ。


(でも……)


 まだだ。まだ情報が足りない。まだ壁を出すスキルと決まったわけじゃないし、何より壁以外も出せるかも知れない。まだまだ警戒が必要だが、一動作の割には情報がかなり取れた。



 ここから作戦を立てていけば、順当に勝ちを拾えるかもしれない。



 ……が。



(順当にじゃダメだ)



 順当に勝とうと思うと、かなりの時間がかかってしまうことは間違いない。できるだけ時間を短縮し、早めにケリをつけなくては。


(順当にじゃなくていい……『邪道』な手を使ってでも取りに行く!!)


 

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