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襲来 その2

 田中伸太が白のクイーンに襲撃される少し前――――



「うーん……こっち方面には何もいないかなぁ?」



 私、浅間ひよりは彼に命令され、彼を中心とした当たり周辺の安全をチェックするため、ブラックを連れて建物の屋根から屋根へと移動していた。


「どう? ブラック。変な匂いする?」


「ワウワウ」


 ブラックは少し鼻を動かした後、首を左右に振り、特段異常は無いことを伝えてくれた。


 ちなみに、ブラックは私の肩に乗り、一緒に移動してくれている。ブラックから異常に嫌われていた大阪派閥にいた頃では絶対にあり得なかった現象に、肩に乗られてすぐの時は爆発しそうになっていた。


(最初の頃とはえらい違いだ……最初の頃とは)


 ブラックと私も、彼と私の関係も……


「……っ! いけない。集中……集中しないと……」


 最近、暇さえあれば彼や彼周辺のことを考えてしまうようになってしまっている。こういうのが油断を生み、いつかは失敗につながることを、私はよく知っている。こういう時こそ気持ちを切り替え、自分のやるべきこと、できることを精一杯やるのが大事なのだ。


「すぅー……はぁー……よし! さっさと済ませて、彼のところへ戻りますか!」


 そう意気込み、目線の先にある建物の屋根へ移動しようとしたその時。



「っ!? 爆発!?」



 後方から、建物数個が一斉に吹き飛ぶのではないかと思うほどの爆発が発生、私の体に建物の破片を当てながら、砂埃とともに、周りの視界を茶色に染め上げた。


(一体何が……!?)


 一瞬、何が起きたのかと混乱したが、この状況で、かつ私たちの周辺で起きる爆発の理由なんて一つしかない。


(襲われた……!? 彼が!?)


 位置的にも、爆発が落ちた場所は、ちょうど彼がいた場所と一致する。しかし、周りは私が警備としていて、もちろんだが付近を警戒していた。


 つまり、彼を襲撃した犯人は、私の視界もブラックの嗅覚もくぐり抜け、誰にもバレずに、彼のそばへと近づいたことになる。


(ぬかった……!!)


 完全に私のミスだ。こうならないために私が警戒していたのに、こうなってしまっては私がここにいる意味がない。


 幸いにも、私は遠距離攻撃ができるスキル持ちだ。遠距離から支援できるため、いないよりはマシであろう。





「すぐに戻って、彼の加勢を――――」





 予想外の出来事に対する焦りにより、思っていることを全部口に出しつつ、足場にしている屋根を踏み締めた。





「させねぇよ?」





 瞬間。槍のような形状をしたピンク色の何かが、私の腹を貫いた。



 

 同時並行で行われる襲撃

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