混沌よりも混ぜられたもの その2
投稿しました〜! お仕事終わったって言ってたけど、全然まだまだ忙しかったです〜! これからもボチボチ投稿していきますので、応援のほど、よろしくお願いいたします!
グリードウーマンと戦う直前、青葉里美はこう思っていた。
(自分1人ではかなわない……けど、他の先輩方がいてくれるなら!!)
自分1人ではどうにもならない存在だと言うのは、今から数週間前の神奈川本部襲撃事件の時点でわかっていた。そして今のグリードウーマンは、その時より強い威圧感を放ち、チェス隊を待ち構えている。
グリードウーマンは神奈川本部襲撃事件の時よりも明らかに強くなっている。前まで敵わなかった存在が、より強くなっているのだ。今の私が相手になるはずもない。
ただ、私だけでなく、他の先輩方も合わされば。
単純に物量の問題だ。1人で駄目なら2人でやればいい。2人で駄目なら3人でやればいい。それだけの話。
しかも、その1人1人はそれぞれが神奈川派閥を代表する兵士たち。ただ1人分のパワーではない。1プラス1が2ではなく、1プラス1が何十倍にもなるのだ。
これなら、最悪勝てなくても負けることは無い。
そう思っていた自分は、その数分後にもろくもあっけなく崩れ去った。
「グッ……!」
(うまいこと足を前に踏み込めない! っ! また体が離れて……!)
グリードウーマンに向かって、殴っても殴っても避けられる。いや、避けられると言うより、拳が離れてしまうと言う方が正しいか。
自分の拳の射程範囲内に入ったと思って拳を振るっても、いつの間にかグリードウーマンの体が自分の拳の射程範囲外に出ていってしまうのだ。これはおそらく、グリードウーマンの巧みなテクニックで回避されてしまっているのだろうそれは、他の先輩方と一緒になっても変わらなかった。
「ほらそこ」
いつの間にか、グリードウーマンはこちらの拳をすべて回避し後ろに周り、こつりと頭をこづいてきた。
「っ! 馬鹿にして!」
わかっている場所に攻撃することほど簡単なことはない。そう思いつつ、振り向きざまに回し蹴りを繰り出すが、グリードウーマンからすればヌルい攻撃だったようで、上半身を後ろにそらし、いともたやすく回避されてしまった。
「馬鹿にしてはいないわよ。馬鹿にしているように見えるほど、あなたたちが弱いってだけよ」
グリードウーマンの口から発されたその言葉は、チェス隊への侮辱そのものだった。
「このっ……!」
「貴様は……貴様だけは!!」
言葉を聞いた先輩方は、顔面の表情筋を一気に歪め、グリードウーマンに向かっていく。かく言う私もその1人だ。
が、いくらやっても拳が当たる気配がない。それも当たり前だ。私たちがやっているのはチームワークというものが追加されただけの殴り合い。
普通ならそれで良いのだが、グリードウーマンはその上を行き、自身のスキルと技術だけで圧倒している。
一度越えられたチームワーク。それを何度繰り返したところで、劣勢が覆らないのは当然のことであった。