表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
616/786

混沌 その7

 お久しぶりですー! 仕事はまだ終わっていませんが、一段落ついたので、投稿をぼちぼち再開していこうと思います! まだブックマーク登録していないよって方は、ブックマーク登録をできればしていただけるととてもうれしいです!


 最初は袖女視点。その後黒のクイーン視点です。

 時は少し遡り、チェス隊が登場してすぐのこと……


 チェス隊。それは神奈川派閥に所属する兵士にとって、憧れの存在であり、自分たちもあそこへと向かうため、研鑽を重ねるべき目標である。


 かつての自分にとっても、それは所属しているだけで誉れ。最下位だとしても、それなりに崇め奉られるため、最初の頃は思わずこの地位で満足してしまうほどのものだった。


 しかし、今の私にとってのチェス隊はその真逆。畏怖し、敵対する関係にあった。


 ぐっ、と拳に力が入る。かつては同じ釜の飯を食った同胞。それらを裏切ってしまった罪悪感に、今更襲われているとでも言うのだろうか。


 自分はもう昨日の自分ではない実感と言うか何というか……とにかく、チェス隊メンバーを窓越しに見た瞬間、何とも言えない感情が湧き上がってきた。


「むう……」


 私の心が密かに曇った。その瞬間、握り拳を作った右手を、何かが包み込むように握られた。


 一体なんだと、何かに包み込まれた右手に目を向かわせると、彼の左手に包み込まれた私の右手がそこにはあった。


「あ……」


 ほんのりと暖かく、それでいて男の人らしいゴツゴツした手。私の右拳よりも明らかに大きいそれは、視認した瞬間、曇っていた私の心の天候を晴れやかにした。


「う、あ……」


 心の天候を晴れやかにするのと同時に、胸の奥にある心臓がドギマギと跳ねるのがわかった。異性に手を握られたことも理由にあるだろう。それが他の誰でもない彼であることも理由にあるだろう。ただ何よりも、彼に手を握られて、ドギマギしてる自分が恥ずかしかった。


「大丈夫だ」


「あ、あの……」


「怯える必要は無い。何があっても、俺の近くにいれば大丈夫だ」


「……っう」


 彼からしたらなんでもなかったであろう、チェス隊を見て怖がっているように見えた私を安心させるだけの言葉。ただそれは、私にとって、何よりも嬉しいものだった。





 自分の気持ちは、自分にしかわからないから。





「……それに、チェス隊が思いっきり攻撃を仕掛けてきたとしても、多分問題ない」


「……それは、どういうことですか?」


「地下牢獄の囚人たちの中には、まず間違いなく――――」





()()()がいるからな」








 ――――









 時間は元に戻り、チェス隊が旋風のドームに潜り込み、ドームが晴れた瞬間に超火力攻撃をぶっ放した瞬間だった。


 はっきり言おう。私はその瞬間、勝ちを確信していた。


 チェス隊メンバー全員での最大火力の放射。それはすなわち、神奈川派閥全体での最大火力を意味する。そして私の記憶の限りでは、地下牢獄に収容されていた犯罪者たちの中に、国家レベルの威力を抑え込める能力者はいない。


 100人以上は間違いなくいた犯罪者軍団は、間違いなく全滅するだろう。いやむしろ、犯罪者軍団どころか神奈川本部さえもぶち抜いて、神奈川本部周辺に甚大な被害をおよぼすだろう。


 しかし、それでも犯罪者軍団が散り散りになって、これから先与えるであろう甚大以上の被害に比べれば些細なことだ。チェス隊メンバーもそのことを理解していて、周りへの被害など構わず、迷わず攻撃ができたのだろう。



 だから……



「お邪魔……では」



 止められるでも、逸らされるでもなく……



「いただきまぁ〜す」



 ()()()()()とは、思ってもみなかった。



 神奈川派閥の全てを乗せた攻撃は、ものの見事に平らげられた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ