混沌 その6
今ここに駆けつけることが可能なチェス隊メンバー全員の集結。それは神奈川派閥側の大幅な戦力アップに加え、戦局そのものに大きな影響を及ぼしていた。
「いける……いける!!!!」
「私たちにはチェス隊が付いているのよ! 絶対に勝てるわ!」
神奈川派閥側には、強い希望と士気を。
「ちっ……来やがったか……だが」
「今こそ、復讐のチャンスってわけよねぇ!!」
犯罪者軍団側には、若干の畏怖と大きな復讐心を与えた。
チェス隊の登場により、犯罪者軍団側にも少なくない影響。それもプラスに働くものが発生してしまったが、その影響を差し引いても、あまりあるプラス効果が神奈川派閥側に作用していた。
「前線はチェス隊に任せて、他の兵士は全員下がって。後方からの支援に徹しなさい」
私の言葉を聞いた神奈川派閥側は、せっかく士気が上がったところでのこの命令で、若干拍子抜けした雰囲気が走ったが、他ならぬ黒のクイーンの頼みならと、1人、また1人と後ろへ下がっていく。
「逃すか!」
そこに待ったをかけるのは、もちろんのこと犯罪者軍団。その中の数人が下がっていく神奈川兵士に対して、炎やら空気圧やらの攻撃が飛び込んできた。
下がっていく神奈川兵士全員を倒すために放った攻撃と言うこともあって、その攻撃範囲はとても広範囲だ。とても1人でガードできるものではないが……
「旋木」
「りょーかい!!」
こと、チェス隊と言うのは人間の域を軽く超えた天才集団。いくらか欠けたとは言え、このような小規模の戦争で、そこそこ広範囲の攻撃を防ぐ位は平然とやってのける。いや、やってのけて当然なのだ。
「旋風壁!!」
旋木は地面に手を置き、そこから回転する風を発生させ、それを瞬時に巨大なドーム状にする。
ドームの大きさは、神奈川派閥側の人間すべてをゆうに包み込めるほどであり、犯罪者君男側の攻撃がドームに接触し、最初からなかったかのように霧散した。
そして旋風がドーム状になって、私たちを包んでいると言うことはつまり、外から見て、ドームの中に入っている私たちの姿は視認できないということ。その間に私はチェス隊メンバー全員に命令を飛ばし、タメの必要な超火力攻撃の準備をさせる。
そして、タメの準備が整った瞬間、旋風のドームを解除させ……
「発射」
雷を、旋風を、酸性粘液を、魚雷を、大量に叩き込んだ。
「……うふふ、おいしそうな食事が来たわぁ」