牢獄内
地下牢獄、そこには、神奈川中に存在している犯罪者たちの中でもトップクラスの犯罪者たちが収監される施設である。
そして肝心の牢獄だが、地下牢獄に入るだけでは、犯罪者が収監された牢獄は確認できず、チェス隊メンバーが入ることができる地下牢獄内のさらに奥、通常、行ける場所とは違う。地下牢獄内のさらに隔離された場所に設置されていた。
牢獄は1つにつき3人の1グループずつで収容されていて、そこに行くためのドアや通路なんてものはない。無理矢理行くとしたら、壁を破壊するしかない場所。毎月神奈川派閥から食材が仕入れられ、自給自足の生活を余儀なくされる。そんな半分、人権を失われたような地下牢獄の一室では、暇を持て余した囚人たちが、いつものように駄弁っていた。
「かーっ、今日も暇だねぇ」
1番最初に口火を切った人物は、牢獄の中で、1番の巨体を持つ彼女。筋骨隆々をそのまま形にしたようなマッシブな肉体を持ち、巨木より太い腕から放たれる一撃はまさに破壊的。当時のチェス隊メンバーを、ポーンだけとは言え、数人殺害したことのある実力者だ。
「なーに言ってんだよ。いつものことだーろ」
こちらの彼女は、全体的に腰まである長い青髪で、さっきの彼女とは真反対のヒョロガリ。なんと肩幅が自分の頭よりも小さいと言う驚異の体型を持っている。
そう風が吹いただけで倒れてしまいそうな肉体とは裏腹に、その実態は神奈川派閥を財政面で支配していた首領であり、ポーションと銘打って、マリファナを多量に含んだ液体を売り捌いていた悪を具現化したような女である。
「ははっ! そりゃ違いねぇ!」
この2人の説明だけでわかったと思うが、地下牢獄に収容される連中は、このレベルでやばいのだ。
「じゃーさぁ、また新入りの話を聞かせてくれよ」
筋骨隆々の女は、最近入ってきた新入りの方を向く。
「まーたその話? もーうやめにしよーよ。もう4回目だーよ?」
ヒョロガリの女はうんざりしたような顔をする。同じ話を何回も聞かされているらしい。
「まぁまぁ! 私はファンなんだよ。新入りがボッコボコにされた田中伸太ってやつの!」
筋骨隆々の女が新入りと呼ぶ女、彼女は少し前、神奈川本部をシュルカーとともに襲撃し、チェス隊メンバー3人を蹴散らしたものの、田中伸太に完膚なきまでに叩き、のめされた犯罪者。
「またぁ? しょうがないわね……ふふっ」
グリードウーマン、その人である。