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暗躍の大阪派閥 その3

『……その後、裏にいる裏切り者の存在を匂わせ、できるだけ解析が早く進むようにスマホのバージョンを下げた物を購入したり、自分なりにアレンジを加えさせて貰いましたが……結果的には成功。田中伸太は黒ジャケットとして、今なお神奈川派閥のチェス隊に捕えられようとしています』


 カメレオンによる解説が終わると、ベドネは満足したのか、両手を使ってパチパチとカメレオンに拍手を送っていた。


「わかりやすい解説ありがとうカメレオン。おかげで色々とわかったよ」


「これで2回目だけどな」


 ベドネの感謝の言葉に、ネーリエンはいつものように厳しい言葉で反応する。が、いつものことなので、ベドネはあまり気にしていないようすだった。


「それにしても、よく黒ジャケットが神奈川派閥に逃げ込んでいると分かったな」


「まぁね! 意外と簡単だったよ。僕ら大阪派閥から逃げようと思ったら、大阪派閥と同格の派閥に逃げるしかないし、近くにいる強い派閥と言えば東京派閥か神奈川派閥だけだった。決め手に黒ジャケットのスマホが東京派閥製だったから、どちらかと言えば神奈川派閥に逃げたかもって思ったんだ」


「なぜだ? スマホが東京派閥製だったのなら、東京派閥が母国で、そこに逃げたと考えるのが自然ではないのか?」


 ネーリエンの当然の疑問に、ベドネはチッチッチと口から音を出しながら、ネーリエンの前に出した人差し指を左右に振る。


「彼がまだ大阪派閥にいた頃に言ったよね? あんなに強い兵士を派閥が逃すわけないって。でも、黒ジャケットはなぜか大阪派閥にいた。まるで『自分よりも大きな組織』から逃げてきたみたいにね」


「つまり……黒ジャケットにとって、東京派閥は避けるべきポイントだと?」


「そういうこと! だから神奈川派閥に逃げ込んだと推理したのさ!」


 田中伸太の胸の内を見通すかのような、ベドネの推理。それは何の因果か、見事に的中していた。無論、今この場にいる3人が、回答を知る術はないが……


『さ、さすがですベドネ様! そこまで計算にいれておられたとは……!』


 カメレオンは心の底からベドネを称賛する。当然だ。自分の派閥のトップに君臨して、自分とこうやって話をして、自分の目が届いている中で、トップの風格をありありと示してくれる。尊敬の念を抱くのは、至極当然のことであった。


『では、後は神奈川派閥に黒ジャケットを捕まえてもらうだけですか! これで我々大阪派閥は、手を汚すことなく、怨敵を始末することができ……』


 ますしね。カメレオンが言葉を綴る最中だった。


「いや? 黒ジャケットには脱出してもらうよ?」


『……はい?』


 カメレオンにとって、衝撃の一言が飛び出した。


「ねーネーリエン。黒ジャケット……田中伸太くんはどれくらいの時間で神奈川派閥を脱出すると思う?」


 ベドネの問いにネーリエンは15秒ほど考える仕草を取った後、ベドネのいる方に頭を向け、返答した。


「…… 1時間位か?」


「なるほどね〜……じゃ、僕は1時間半にしようかな」


『ちょ、ちょっと待ってください!!』


 モニターの向こうから、カメレオンが会話に待ったをかける。


「何〜? ……あ、ごめんね? カメレオンも予想に参加したかったかな?」


『ち、違います!』


「じゃ、何さ」


 カメレオンは珍しく、食い気味でベドネとネーリエンに発言した。


『なんでお2人とも脱出前提で話を進めてるんですか!? このまま神奈川派閥に捕まってもらった方がいいに決まってるでしょ!?』


 そう言い切ったカメレオンに対し、ベドネとネーリエンは一瞬、何言ってんだこいつと言いたげな表情を見せると、すぐさま、カメレオンの問いに返答した。


「無理だよ。ムリムリ。神奈川派閥ごときが彼を止められるわけないでしょ」


「同感だな。我が大阪派閥最高戦力である十二支獣を4体撃破し、タウラスに三途の川を見せた男だぞ? そんな男が我々以外の派閥に負けるわけがない」


『…………』


 予想外すぎる返答にカメレオンは思わず無言になってしまった。


「そんなことよりさぁ! せっかくビデオ通話にしてるんだから、僕たちに神奈川本部を見せてよ! 見たいんだ! どうやって黒ジャケットが小娘どもにわからせてやるのかをね!!」



 

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