ワンサイドゲーム
もうすぐ始まりが終わるぞ……
無情にも1試合目に選ばれた俺たち。
1人はうつろな瞳で、1人は生き生きとした瞳をしながら真ん中に立つ。
「2人とも! ルールはわかっているな?」
「……はい」
「はい! それはもう耳にタコができるほど!」
俺も三山も了承する。ここで俺が取れる唯一の抵抗は1つしかない。
それは――――
「始め!」
それを聞いた瞬間、俺はゆっくりと後ろに体を倒す。まるで自分から負けに行っているかのように。
そう、ここで俺がとる行動は自滅、その一言でしかない。
おそらく、三山は超身体能力支援で自分の身体能力を5倍にし、一撃で勝負を決めて、自分の強さを才華に見せつけることだろう。
ならば……その前に負けてしまえばいい。
こけたとでも適当に理由をつけ、後ろに転んで上半身を床につければやつの見せ場はなくなる。
「いっ……!!!!!」
その瞬間股に衝撃が走った。
相手がスキルを使って突っ込んでくるのは当たっていた。だが、通常の5倍になった速度で股に足をひっかけ無理矢理俺を起こしたのである。
その後は何度も何度も顔に向かっての殴打が続き腹に拳を入れられた時。
「妙な真似すんなよ?」
小声でささやかれた。
それは警告ではなく、俺からすれば脅迫だった。
……それからは一方的だった。
体を最大限フルに使った美しいと思える動きで俺を攻撃し続ける。それでいて、俺が倒れないように、バレないように足を踏んだりして10分以上殴り続けていた。
こんなことをしたら周りに悪印象がつくと思っていたが、周りは大歓声に加えて「もっとやれ」なんて言う言葉も出てくる位である。頼みの綱の才華は心配そうな顔で見ているだけ……
(なんでだよ……なんで見ているだけなんだよ……助けて……助けて……)
そう思いながらも試合と言う名の暴力は続き、結局終わったのは15分後。俺の足を踏んでいた足を外し、俺が倒れてからだった。
設定 東京派閥
日本最大の派閥で他を含めて7の派閥を支配下に置いている。
なぜここまでの強さを手に入れたかは、これから明かされることになる。