犯人へ
めっちゃ忙しかったので、今日はちょっと少なめです。
犯人に話を聞くため、俺たちはマンガ喫茶を早々に後にし、神奈川派閥本部にまで向かっていた。
(んー……)
向かう途中、ふと、本当に犯人と会うことに意味があるのだろうかと考えた。
(結構衝動的に行こうって言っちゃったんだよなぁ)
勢いのままに犯人に会おうとしているが、今回の事件に俺は関与していない。神奈川派閥の明らかなミスだ。わざわざその事件に手を突っ込む必要性はない。
しかし、逆に考えれば、俺を疑っている黒のクイーンも同じことを考えているはずだ。明らかに関連性のない事件に首を突っ込むことなどありえないと。
だからこそ、この事件に関与することで黒のクイーンの思考の隙をつき、疑いを晴らすことができるのだ。
(……ほっ)
「あー……あ! 見えましたよ!」
この行動に意味があったことにほっとしつつ、袖女の言葉に言によって意識を思考の海から現実へと引き戻す。
神奈川内部の外見には何ら変わりない。ここ最近嫌と言うほど見ている大きな大きな1つの建物だ。
俺と袖女は本部の中に入り、俺は窓際にあるソファに座り込み、袖女は受付に入る受付嬢と話し始める。内容はもちろん、長官を殺害した犯人との面会許可を取るためだ。
袖女は何やら証明証らしきカードを受付嬢から受け取ると、カツカツと足音を立ててこちらに戻ってきた。
「どうだった?」
「面会できるそうですよ。特別任務に選ばれたメンバーの1人だと言うことと、名前を言ったらすぐに」
袖女はそう言いながら、受付嬢から受け取っていた。1枚のカードを俺に差し出してきた。
「これは?」
「面会カードです。2枚貰ってきたので、1枚はあなたに」
「なるほど、サンキュー」
俺は面接カードを受け取り、ソファにもっと沈めていたいと駄々をこねる体を持ち上げ、受付の奥にあるエレベーターから、地下牢獄へと向かった。