1秒間の対策
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世界が止まり、自分だけの世界となった30秒間。僕はそのうちに体をむくりと起こし、上半身をあらわにする。
「ぐっ……ごほっ」
胸に感じる激痛、それは外側からと言うより、内側からダメージがしみ渡っていく感じがする。
その証明と言ってはなんだが、口から咳とともに、人に見られたら驚かれる位の量の血が滲み出てきた。
(……なるほど、これがやつが考えた僕のスキルへの対策方法か……)
僕のスキルに対して、伸太が出した結論。それは時間が引き延ばされる直前に僕の体にダメージを入れて、動きを鈍らせると言うものだった。
普通の肉体なら、全盛期ならこの程度、少しよろける程度で、よほど追い詰められていない限り支障が出ることはないだろう。
ただ、今の僕の体は老体。お世辞にも鍛えられた兵士と同じ肉体レベルとは言い難い。むしろ平均より下だろう。
よって一撃を叩き込まれただけでこの通り、地面に手をついてしまうほどのダメージとなるわけだ。
「ふーっ……」
僕は一息つき、息を整える。一度30秒間に引き延ばす時間を設定してしまった以上、再始動時間を経過しない限り、もう一度スキルを発動することは叶わない。よってこの時間を利用して体を休めることは不可能。なので、これから起こることについての先読みと、僕の脳から生まれてきた疑問について考えていく時間としよう。
この30秒間が終わった後、起こることはたった1つ。弱まりきった僕に向かっての突進攻撃だろう。むしろそれをしない理由がない。何せ、今の僕にはスキルを使用する以外で回避する方法がないのだから。
しかし、それ以前に僕には1つ、理解できない謎があった。
(なぜ……僕に攻撃が当たったのか……)
少し前にも言ったが、さっきまでの伸太の動きは確かに速かった。しかし、それ以前の伸太ほどのスピードではなかった。
攻撃速度も同様に、確かに速いが対応できないほどではなかった。なのにあの一撃だけ、あの蹴りだけ凄まじい速度を見せたのだ。
(スキルを単純に使ったのか? いやでも、それだけであそこまでの速度を……いざと言う時のために最高速度をセーブし続けていたとか?)
必死になって考えるが、30秒と言う時間は思ったより短く、刻一刻と時間が過ぎていく。
(残り5秒……もう時間がない!!)
「クソっ……」
不安要素は拭い切れないが、30秒間の間で結論が出ないからには、その場しのぎの策でもいいから実行に移すしかない。
とりあえず僕はすぐに襲い掛かってくるであろう伸太から距離を取る。次の攻撃までの時間を少しでも稼ぐ狙いなのだが……
(……まてよ?)
その時、僕の頭の中に1つの問題点が浮き上がった。
(……このままではジリ貧だ)
僕では対応しきれない攻撃スピードがある以上、このままではスキルを使っては距離を取り、スキルを使っては距離をとりの繰り返しになってしまう。その先にあるのはもちろん敗北の2文字。
(ならば――――)
スキルによる引き伸ばし時間は残り2秒。もう時間はない。
「もう時間か……」
(解除)
時間の流れが元に戻る。もちろん僕の体は別の場所に移動しているため、観客たちからすれば瞬間移動したかのように見えただろう。その証拠に、黒のキングはどこにいったんだと、首を振る姿が見えた。
ただ1人だけを覗いて。
「……!!」
伸太だけは僕の位置を察知し、すぐさま飛び込んできた。
距離をとった意味などほぼない。感知してすぐさまの突撃である。
ただそれぐらいは想定内。今の伸太ならそのくらいはしてくるとたかをくくっていたからだ。
(ここだ!)
僕は伸太の突撃に合わせて、勢いよく足を踏み込んだ。
マジモチベ上がった。