表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

511/788

空中戦 その1

 背骨からのポキポキ音が止まらん

 飛び立って自分に接近してくる相手をただ眺めているわけもなく、田中イズナは向かってくる私に対し、剣を無数に形成し、宙に浮かせて発射する。


 ただその動きはとても直線的で読みやすい。熟練の兵士なら容易に避けられる。


 当然私も問題なく剣の雨を回避しつつ、田中イズナが佇む天に登っていく。


「ちっ……シールド結界フィールド!」


 田中イズナは舌打ちをした後、ソード結界フィールドは私に効果がないと踏んだのか、結界を一旦消し、ソードからシールドに切り替えてきた。


 シールド結界フィールドはさっきのソード結界フィールドの盾バージョンと言った感じで、盾をどこからともなく生み出し、自由自在に操れるというものだ。


 しかし、さっきまでの剣とは違い、盾一つ一つが横に広いため、オーラととても相性が悪く、発動されたらほぼ詰みな私にとって激ヤバな技。


(でも、今の私にはフラッシュナックルがある!)


 いくらでも盾を作れると言えど、その素材はすべて鉄製で統一されていて、そこまで硬くはない。フラッシュナックルさえあれば余裕で盾を貫通し、本体へダメージを与えることができるだろう。


「ふんっ!」


 その証明に、生み出した盾にフラッシュナックルを叩き込んだ所、木っ端微塵に破壊できた。


(よしっ! 通用する!)


 私と田中イズナの間に距離があったため、本体にダメージを与えることはできなかったが、盾を破壊できることは確認できた。


 フラッシュナックルがある! と心の中でタカを括ってはいたが、正直直前まで通用するかどうか不安だった。


 もしかしたら盾を破壊できないかもしれないと頭の隅で少し思っていたからだ。


 しかし、それが解消された今、怖いものなどもう何もない。ただ突っ込み、壊すだけだ。









 ――――









(意外に戦えるな……だけど……)


 私、田中イズナは最初の楽勝だろうと言う予想に反し、序盤で光弾とラッシュコンボによるダメージで早々に追い詰められていた。


 単純に言えば油断していたのだ。


 我が兄との訓練により、いくばくかの強化が成されているのは予想ができていたが、まさかここまでのものとは思わなかった。全てが終わったらぜひ私も訓練を受けてみたいものだ。


(さて……と……)


 普通なら焦ってしまう展開だが、私の脳内に与えられたダメージに反し、以外と頭の中は冷静だった。


(じゃ……時間をかけますか……)


 理由はこれまでの戦いの中で、対戦相手である浅間先輩の弱点を発見したからである。


 結界を入れ替えた理由はソード結界フィールドの相性が悪かっただけではない。もう一つ、浅間先輩の弱点を浅間先輩自身に自覚させないようにするためでもある。


 要するにできるだけ長い間、弱点を露出させるための盾なのだ。


 そして私の思惑通り、浅間先輩は私と同じ高度までたどり着くと、その身にあるオーラを存分に使い、盾を破壊し始める。


 盾を破壊している時の顔はポーカーフェイスもクソもなく、焦りと高揚が混じったような顔をしていた。


(想定通り……だけど……)


 ちゃんと仕掛けを施したとは言え、浅間先輩が気づくか気づかないかはコントロールできない。完全に浅間先輩の心境頼りになってしまう。


(悪いけど完全じゃないことには不安になっちゃう性格なんだよね……!)


 すぐに気づかれてしまった時のため、二の矢を用意しておこう。



 全ては愛する家族を取り戻すために。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ