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観戦中

 連続投稿〜

「いよおしいぃぃ!!」


 袖女が田中イズナに両拳のラッシュを叩き込み、止めに光弾を撃ち込んだ時、個室にいた俺は人目がないのをいいことに、大きく声を上げてガッツポーズをとっていた。


 それもそのはず、あの動きは袖女の訓練の賜物であり、オーラを貯めた拳と貯めていない拳をうまいこと使い分けたラッシュコンボ。同じく訓練を共にしてきた俺としては、まるで自分がしたことのような嬉しさを覚えていた。


「ワウーン!!」


 それはブラックも同じことのようで、小さな体をソファの上で飛び跳ねさせ、喜びを表現していた。


(しかもこれはただのラッシュコンボじゃない……攻略するのが難しい強力なラッシュコンボだ……)


 普通のラッシュコンボと言うのは、ある程度簡単にダメージを与えられる攻撃手段だ。そのかわり、手足をタイミングよく相手にぶつけるだけであり、そのタイミングさえ掴むことができれば簡単に対処できる弱点が存在している。


 それに比べて、今行った袖女のラッシュコンボはオーラを使い分けることによる威力の差、それに加えて新技による不意打ちで、見極められやすい弱点が見事にカバーされていた。


(フラッシュナックルとか言ったっけか……)


 ネーミングの圧倒的ダサさはともかく、袖女の持つ攻撃手段の中で初めて貫通力を持った技。あの技が田中イズナの持っている情報に誤作動を起こし、思っている以上に厄介な技へと成長している。


(今のところ、袖女が終始有利な状況……このまま押し切ることさえできれば……)


 勝利も近い。









 ――――









 私は特設席で冷や汗をかきながら、下にあるステージをじっと眺めていた。


「……イズナ」


 冷や汗の原因はイズナの想定外の苦戦にある。


 確かに浅間ひよりが田中伸太によって魔改造され、成長する可能性も考えなかったわけではない。それでも地力の差でどうにかできると思っていたし、スキルの相性と自由度から見ても、そもそもの時点で有利なのはこちら側のはずだった。


(それが……何?)


 最初の方は圧倒的な力の差から、舐めプをしているのだろうと思っていたが、新結界である透明ステルス結界フィールドを浅間ひよりが対処し始めたあたりから風向きがおかしくなり、拳のラッシュと見たことのない光弾を撃ち込まれたところから、風向きが完全に浅間ひよりへと傾いた。


 今や完全に逆風だ。ラッシュのダメージも馬鹿にならない。


 そして何よりもあの不思議な光弾だ。不可思議な死を迎えた海星大河との戦いで初めて見せた技。おそらくは新技なのだろうが、それにしてもあれは……


「斉藤様。見ましたか」


 心の中で光弾に関する感想を述べようとした瞬間、横に座っていた凛から言葉を投げかけられる。


「……ええ。そしてあれは間違いなく……」


「浅間ひよりの弱点を克服した技……ですよね?」


 私は凛の言葉に返答する代わりに、コクリと首を縦に振って肯定する。


 海星大河の時は人づてに聞いただけの情報だったため、正確な分析はできなかったが、この肉眼で目にした今だからこそわかる。あれは浅間ひよりにとって、いつまでも破れなかった自分の殻を破るためのトリガーだと。


「これでは……浅間ひよりの従来の情報が通用しない……」


 それに比べてあちら側は透明ステルス結界フィールドが消えた今、従来の情報が通用してしまう。


「このまま行ってしまうと……」


 敗北は近い。


 

 よければブックマークよろしくお願いしまああああす!!!!

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