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葛藤

 ちょっとずつですが投稿再開!


 明日明後日は投稿数1話ずつにさせてください……

 このまま拳を振り抜くとまずいことになる。田中イズナから溢れ出る威圧感から、私はそう感じとった。


 ただ、本能的な私がそれを感じ取っても、理性的な私が拳の勢いを止めさせてくれない。


 なぜなら視覚的に見れば、田中イズナは丸腰状態。戦闘用のフォームすら取っていない。あんな状態、かつ私のオーラナックルの着弾速度なら、攻撃フォームを取る前にヒットすることだろう。


(でもこのやな感じ……)


 本能的な部分を信じる私と、理性的な私が信じる私。拳が完全に伸び切るまでの短時間でぶつかり合う。


 しかし、本能的な私の健闘実らず、理性的な私の完全勝利と言う結果で幕を下ろした。


「……っぐ!」


 やがて腕は完全に伸び切り、その先端、拳から透明なオーラの塊が発射される。


 ここまできたら私の願うことはたった1つだけ。発射されたオーラナックルが何事もなく着弾することだけだ。


(頼むから……当たって……)


 しかし、自分が心から願っていることに限って、そのとおりにいかないのが世の常だ。


「何っ……!?」


 なんと、田中イズナはオーラナックルが自分に向かっている状況をわかっておきながら、自分からオーラナックルの向かっている方向、つまり私に向かってダッシュしたのだ。


 馬鹿な。目に見えないとは言え、オーラナックルが自分に向かって撃ち出されていること自体はわかっているはずだ。


 それを見えていないのに、自分から距離を詰めるのは自殺行為に近い。単純にダメージを受ける速度が速くなるし、このくらいで当たるだろうという予想もつかなくなるからだ。


(なのに近づくなんて……ただでさえ高い着弾の可能性を更に上げることになる)


 ただ、チェス隊ともあろうものが、初心者でも見え透いた結果を受け入れるはずがない。


(つまり、何か策を――――)


 腕は伸びきっていて使えないが、足は動く。私はその場から退避するため、右に向かって体を動かそうとする。



 ――が遅かった。



透明ステルス結界フィールド



 私が回避するよりも、田中イズナの仕掛けが発動するタイミングの方が、一歩早かったのだ。









 ――――









 同時刻 田中伸太視点


 勝負とは一瞬一秒の世界だ。


 勝負という何十分も続く場合もある世界では、たった一瞬の隙が勝敗に影響することを俺は身をもって知っている。


 なのである意味、勝負とは隙の突き合いとも言える。


 そして隙とは、勝負のレベルが高まれば高まるほど見つけるのが困難になり、最悪の場合、無いなんてこともありうるほどだ。


「だから……試合中に願うなんて、あってはならないんだぞ袖女」


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