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その後の試合

 俺は第1試合を見終えた後、続く第2、第3試合のレベルの高さに驚きを隠せず、手元にある食べ物を口に入れることすら忘れ、テレビに顔を縫い付けられたかのように、必死になって観戦し続けた……



「むぐ……んー! このとりかわ餃子うまいなぁ!」



 ……わけではなく、既にイカ焼きを完食し、次なるりんご飴も食い尽くし、初めて食べるとりかわ餃子と言うものを食べていた。


 既にテレビなど見てはいない。むしろ祭りならではの食べ物に夢中だ。既に俺の心の中は、別に袖女以外の試合は見なくてもいいか! レベルで試合への意識が散漫していた。


 何せ、それからの試合がつまらなすぎる。派手なだけのスキルのぶつけ合い。それを見るのが初めてならまだいいが、実戦の戦略や、命のやり取りを知ってしまった身からすると、全くと言っていいほど見ごたえがなかった。


 第2試合こそ、チェス隊メンバーのスキルを確認するために、じっとテレビ画面を見つめていたのだが、ちょっと見ただけでスキルの予想ができてしまうことと、単純につまらなさすぎると言う理由から、第3試合の初めにはちらっと確認するだけで、後はテレビ画面から視線を外し、出店の食事を楽しんでいた。


 そもそも、実戦を経験したことがない初心者ですら、炎や水、風や雷が無造作に飛び散っているのを何度も見てしまうと飽きてしまうだろう。


 しかし、俺の予想と反して、ステージの観客席は大盛り上がり。チェス隊メンバーが大技を放つたびに、喉がなくならないか心配してしまうほどの歓声が飛び交っていた。


(たぶん、近くで見ていることによる興奮だな)


 人が経験したことがないもの、滅多に見れないものを間近で見ると、興奮や感動が体を襲う生き物だ。経験者が見て普通だろと思ってしまうものでも、大興奮してしまうものなのだ。



 ……かつての俺がそうだったように。



 ともかく、俺が言いたいのは、この程度なら見なくても問題ない。余裕で対処できると言うことだ。はっきり言ってチラ見することも必要ないかもしれないと思うほどに。



 しかし……



『続きまして第6試合はなんとぉ〜……あの! 白のクイーンのご登場だああぁぁぁぁ!!!!』



「……お?」



 さすがの俺でも、めったに耳にしない白のクイーンという言葉には、釣られざるを得なかった。


 


 

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