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 同時刻、東京派閥では……


「どうだった!? いたか!?」


「いやいない。多分隠れてるんだろうな」


 東京派閥の中心市、東京では、50人を超える東京兵士が、血眼になってとあるたった1人の人物を捜索していた。


「くそっ……どこにいったんだよあのクソジジイ……! あいつ1人……たった1人なんだぞ……」


 その中の1人の兵士は、地団駄を踏んで悔しがりながら、口から漏れ出すように、甲高い声をポロリと溢した。



「あのクソジジイ1人捕まえるだけで……特別懸賞金が貰えるのに……」









 ――――









「はぁ……はぁ……はぁ……この老体にはちとこたえるわい……」


 ワシ、ドクトルは下水道を走り回っていた。


 なぜ下水道なんて汚いところで、前のように走り回っているのかと言うと……


(チェッ、ポカしてもうたのう……()()()()に侵入するのはまだ早かったかの……?)


 答えは単純明快、東京本部に不法侵入したことがバレて、本部にいた。もしくは周りを巡回していた兵士たちに追われることになったのだ。


(しかも、特別懸賞金か……くそっ、あやつら、元とは言え、()()に向かって……少しは良心とかないのか!? ええ!?)


 ここで叫ぶわけにはいかないため、心の中で叫びたい欲求をなんとか発散する。ああ、それにしてもまさか、あの資料に目を通すのに夢中になっていたせいで、後ろからやってきていた職員に気がつかないなんて、あまりにも腑抜けが過ぎる。


 伸太に電話で気を付けろと言っておきながら、自分がやらかしてしまうなんて、伸太にバレたらとことん馬鹿にされてしまうことだろう。


(このことは伸太には話さないようにしておくことにしようかの……よしそうしておこう)


 ワシはそう思い、伸太には絶対にこのことを言わないようにしようと、そう心に刻んだ。


(よし、決定……っと、それよりも、今この状況をなんとかしないと……)


 向かい側の曲がり角をゆっくりと覗き、誰もいないことを確認すると、その曲がり角を曲がり、誰もいない下水道を歩んでいく。聞こえるのは水滴と自分自身の足音のみ。


 下水道が使われていた頃なら、これらに加えて下水が流れる音も追加されていたのだろうが、既に東京派閥の下水道は封鎖されて、特に整備もされていない。そこに形があるだけだ。なんとも寂しいものである。


(とりあえず派閥外に逃げなければ……確かこっちの道が近道だったな……)


 ワシはほどよく疲れを感じている体を動かし、歩を前へと進めていった。

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