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チェス隊入場

 最初は3人称視点です。途中から伸太視点になります。

 観客たちが前代未聞の1枠にどよめきの声を上げる中、困惑と驚きが悪いことのように広まろうとしたその時、司会者がそれを止めるため、声を大きく張り上げて、ステージ中の雰囲気を一旦掻き消した。


『落ち着いてください皆さん! 確かにこの1枠は前代未聞……私ですら、自分の心は平常だと、胸を張って言える状態ではありません……!! ですが!! そんな気持ちなんて、この偉大なる御方々を見れば、一瞬で無と化すことでしょう!!』


 偉大なる御方々。その言葉を聞いて、観客席はさっきとは裏腹に、緊張、期待。そして何よりも、どこか謎めいた『確信』が、ステージ上を一瞬にして支配する。



『もったいぶる必要もないでしょう!! さぁ!!』



 司会者の声に合わせ、ステージの中心に一筋の光の柱が出現した。それは真っ昼間なのにもかかわらず、はっきりと、鮮明に……あまりの鮮明さに、今の時間帯が深夜なのではないかと錯覚してしまうほどだ。



 その度合いは、観客席の観客たちの目線がしっかりと物語っていた。


 そして次の瞬間、一筋の光の柱が分裂したと同時に、晴天の空から流星のごとく、合計で32個、いや、あえて32人と言おう。それが32人の流星が、轟音を立ててステージ中心に降り注ぎ、着地時の衝撃によって巻き上がった煙が晴れていくのと同時に、流星の正体が明らかとなっていく。


 手が、足が、肢体があらわになっていくにつれ、会場の熱気のボルテージがグングン上がり……



『神奈川派閥の最高戦力!! 国外にも轟く32の流星!! 神奈川が誇る!! 最強最美!! チェス隊の!! 入場だああああぁぁぁぁー!!!!』



 空から降り注いだ流れ星たちが、チェス隊という形となって、地上世界に降臨した。









 ――――









「おおー……なかなか凝った演出だなぁ……なぁブラック」


「ワン!」


 俺はその1連の演出を、焼きそばをすすりながら個室のテレビを通して見ていた。


 ブラックは俺の隣でソファの上にちょこんと座り込み、俺とともにテレビ画面を覗き込む。小さな体が座り込むことによって可愛さが倍増している。思わず背中を撫でてしまった。


 それはともかくとして、さっきの演出のカラクリは、おそらくスキルと化学の融合だろう。


 空からの落下は浮遊できる何かしらのスキルを使用したのですぐに理由がつく。


 光の柱はよく見ると、遠くのカメラから淡い光のカーテンがかかっていた。これは100パーセント間違いなく立体映像で間違いない。


(ってか、あんなに見えるもんなんだな……?)


 前に東京で立体映像を見た時は、どこかでスキルが使われてるんじゃないかと疑っていたものだが、人の成長は目も良くするらしい。


(科学力だけで言えば、東京派閥よりも神奈川派閥の方がよっぽどすごいはずなんだが……不思議なこともあるもんだなぁ)


 特に何も考えず、焼きそばにマヨネーズをかけて、再びすすりあげた。


 



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