1日前
それから時は経ち、プロモーション戦1日前。
「だあああああああ!!!!」
「むやみに拳を振り回してもあたらないぞ!!」
プロモーション戦1日前、俺は黒のキングである師匠とともに、プロモーション戦前最後の訓練を行っていた。
そして今、黒のキングと模擬戦を始めてから10分が経った。
現状はいつも通り、俺側が圧倒的不利である。高速で近づいては殴られ、近づいては殴られの繰り返し。
回避しようにも、黒のキングも人間だ。最初の頃に回避をされたことを反省し、回避されたとわかった瞬間、もう一度瞬間移動を開始したり、そもそも回避されないように、俺に接近する途中に瞬間移動を繰り返して、タイミングをずらしてきたりして、見事にダメージレースで敗北していた。
その証拠にこの瞬間も、師匠に向けて放った拳が空を切った。
「チィ! またか!!」
「温いわ! 拳の線が見え見えだぜ!!」
黒のキングに拳を回避された瞬間、拳が伸びきったのと同時に脇腹に衝撃が走った。
(っお!? されっ――)
俺はそのまま壁に激突。大きなクレーターを作るはめになってしまった。
だが――――
「むん!!」
俺は目を見開いた後、体をゴムのようにしならせ、その反動を使ってクレーターから抜け出し、地面に着地した。
「ほう……いつも思うが、あれを食らってピンピンしているとは……本当にタフだな」
「スキルのおかげだよ」
無論、壁にクレーターを作ってしまうような攻撃をもろに受けたら俺の体などいともたやすく爆散してしまう。
ただ、俺の体にはスキルという力がある。俺のスキルである反射を使い、体に衝撃が伝わる前に、背中に反射を発動し、壁側から来る衝撃を跳ね返して無力化したのだ。
そのおかげで、拳を叩き込まれた部分には確かなダメージが残るが、壁に激突することによるダメージは無力化することができるのだ。
(本当なら拳を受ける部位にも反射を発動して、ほぼノーダメで受け切れるんだが……いかんせん気配が感じとれない分、対応できないんだよな……え? 改めて考えてみると黒のキングのスキルチートじゃね?)
自分の師匠のチートっぷりを再認識しつつ、なんとしても攻撃を当てるため、離れた位置で鎮座している黒のキングに向かって駆け出した。