膝枕 袖女視点
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やばい。完全にやらかした。
私はお風呂に入りながら、両手で頭のおでこの部分を抑える。
その姿はまるで考える人の女性バージョン。しかし、私の考えているこの重要な問題は、考える人のポーズをとっても解決策は思い浮かばない。まるで靄のように、いくつかの案が生まれては消えていく。
部屋に彼が入ってきた時のことを忘れたフリをして彼と接するのも、さすがにもう限界だ。どうにかしてフリーダムに話したいものだが……
(まずい……このままだとお風呂から出た時に気まずい雰囲気になっちゃう……)
この体を通して流れていくシャワーのように、上から下へ考えが流れていくだけで、刻一刻と時間が過ぎていく。
(……いや、そもそもここからあの時のことに触れずに彼と接するなんて……無理なんじゃ?)
そうだ……なら、いっそのこと振り切って……
(玄関でのことを忘れちゃう位のことをしてやる!)
私はそう決心し、体を湯船の中へ沈めた。
――――
(……で、膝枕をしたわけですけど……)
お風呂から上がって30分ほど経った今、当の彼は私の膝の上で寝息を立てて眠っていた。
「……ちょっとやり過ぎてないかなぁ」
もしかしたら、ノリと勢いでやりすぎて、変な女だと思われてしまったかもしれない。そんな思いが頭をよぎったおかげで、額から変な汗が滴り落ちるのを感じる。どうやら私は焦っているらしい。
(彼に変な印象を持たれたくなくて焦るって……)
私もかなりの末期症状だなと自覚しつつ、私をこんなにした張本人である彼を見る。やはり相当疲れていたのか、いつもの彼からは想像もできないような安らかな表情をしていた。
「ふふ……」
(私が膝枕してあげたから、気持ちよさそうにしてるのかな……)
普段私は彼より早く起きるため、ソファで眠る彼の寝顔を何回か見たことがあるのだが、こんなに安らかな表情をしている彼の寝顔を見るのは初めてだった。
(この顔をしている理由が……もし……もし私だったら……)
私はそれ以上何も思わず、ただゆっくり、ゆっくりと彼の頭を撫で続けた。