表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
452/784

ハローdeath その2

 不審者が私を殺そうと手を伸ばした瞬間、私を乗せているベッドを中心にして水の竜巻を発生させた。


 私がなぜ時間を稼ぐ行動をとったのか、その理由がこれだ。


 私を中心にて水の竜巻を発生させることで、私と不審者との境界線を作り、私の体に不審者の体が触れることを拒否したのだ。


 単純に、水質変形『壁』を使うことも考えたが、あれはすぐに使える分、防御力は低い。ただ水を張っているだけだからだ。


 その点、竜巻なら、ただ水を張っているだけではなく、それに加えて回転による水圧が加わっている。普通に水質変形『壁』を使うよりも、よっぽど防御力が高いはずだ。


 そう考えている内に、私と不審者の間に発生した水のカーテンは、ものすごい勢いで上へとせり上がり、やがて私の視界からは、彼の姿が水のカーテンで埋め尽くされ、見えなくなってしまった。


 しかし、それだけでは足りない。それだけでは、自分を守るだけで、いずれは突破されてしまう。竜巻だけで作る時間では、その間にチェス隊の誰かが来てくれる可能性は限りなく低い。可能性を少しでも上げるためには、こちらからも反撃を仕掛けなければならない。


(けど……そのための時間稼ぎだったんだ!!)


「水質変形……『ヒル』!」


 通常、私のスキル『水形ミズノカタチ』は、あらゆるものを水によって一瞬で作ることが可能。一瞬ゆえに、思いついてから作るまでの時間に、タイムラグが全く存在しない。


 しかし、作るものの体積が大きかったり、細かい動きが必要なものを水で作るとなると、それなりに時間がかかってしまう。


 それでも、高層ビルレベルの大きさなら10秒ほど時間をもらえれば作れる……他の作る系統のスキルと比べるべくもない短さだ。


(全く同時に同じものを2つ作る……初めての体験で、思ったより時間が掛かっちゃったけど、あれだけ時間が稼げれば十分だった……)


 そして、ここで蛭。ここで攻撃力のなさそうな蛭を選んだ理由は、この水獣を使って行うことが時間稼ぎだからだ。


 もし勝つ目的で水獣を生成するのなら、狼や恐竜などの攻撃性能の高い生物にしただろう。


 しかし、今回の目的は他の人が医務室に入ってくるまでの時間稼ぎだ。それ故攻撃性能を重視する必要性がなく、相手の血をゆっくりと吸い取りつつ、対象の皮膚に付着して相手の行動を制限する蛭こそ最適だと判断したのだ。


 しかもその量と大きさは尋常ではない。その総数、なんと100匹以上。さらに大きさも手のひらサイズで、普通の蛭よりも数百倍はでかい。


 これなら勝利できずとも、時間を稼ぐことは可能だ。





(後は待つだけ――――)





 ……なのに。





(なのに……なんで……)





「口から血が……出てくるのかなあ?」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ