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彼が出てから

 久しぶりに休日と言うものを感じている。

 彼が外に出て数分が経ち、彼の用事がすぐに帰ってこれるようなものではないと判断した私は、暇つぶしに部屋の掃除を久々に行っていた。


 しかし、私の心は掃除の方に向いておらず、常に彼のことが頭にこびりついて離れなかった。


 彼はどこにいるんだろう。今何をしているんだろう。そんなことばかりで、頭の中に他のものを入れる隙がなかった。


(……はっ、ま、まさか……他の女の人と密会……!?)


 時刻はまだ昼前。彼が外に出るのは、いつも午後からなので、昼前に外に出るのは正直不自然。彼も男だ。訓練のこと以外で彼が外に出るとなると、女性関連のことかもしれない。


(彼も男ですからね……神奈川派閥には女性が多いし……)


 神奈川派閥は男の人数が極端に少ないため、そもそも男であると言うだけでモテてしまう。ましてや彼のように、白のビショップを倒してしまうほどの強さを持つ男なら、もはや神奈川の大スターになっていてもおかしくはない。


「う……うう……」


 こんなことなら、無理を言ってでもここに残るか、ついていけばよかったと後悔の念を抱く。


 しかし、後悔というのは今更変えようもないから後悔なのだ。いくら悔やんでも後の祭り。時は戻ってはくれない。


(何とかしないと……!!)


 そう思った瞬間、手に持っていた掃除機を投げ捨て、彼が帰ってきた時用の準備を始めた。









 ――――









「――っ! くそ! くそくそクソォ!!」


 気を失った私は試合の後、誰かに医務室に運ばれていたようで、目を覚ますと医務室の天井が視界に入るとともに、体の感触でベッドで横になっているのがわかった。


 そして、ここが医務室だとわかると同時に察してしまったのだ。



 ――――私、海星大河は負けたのだと。



「っあ! がああぁぁぁ……!!!!」


 今すぐにでも医務室を抜け出して、浅間をぶっ殺してやりたい衝動に駆られるが、ズタズタになった体が言うことを聞いてくれない。


 痛みに表情を歪ませながら目を動かすと、右腕と左足にギプスがはめられ、包帯でぐるぐる巻きにされていた。どうやらその2つの部位の骨が折れているらしい。


(体を動かすとそこかしこが痛い……右腕と左足だけじゃなく、他のところも少なからずダメージがあるっぽいなぁ)


 浅間のオーラによる攻撃は範囲が広いため、1回の攻撃に体のいろんな場所が刺激される。そのおかげで必要以上にダメージをもらってしまったようだ。


「ぐ……」


 普通なら何日か意識が闇の中に沈んでいてもおかしくない損傷。だが、私は目覚め、意識もはっきりとしている。ここで行動しない手は無い。


(とりあえず、先生を呼んで現状の確認を……)


 私は手元にある呼び出し用のリモコンを手に取り、ボタンを押そうとしたその時……


「……ん?」


 医務室のドアが開閉する音が、妙にはっきりと聞こえた。


 




 

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