表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
421/783

勝て。これは命令だ

 この時間帯に投稿している。次は夜9時とかになるかも

 俺の提案に対し、袖女と海星大河両方が同意を示したため、2人が戦い、勝った方が俺と戦えるということになった。


 試合のルールは制限時間なしの1対1。武器の使用は認めるが、命の危険に関わるほどの攻撃を与える武器の使用は認めない。


 勝敗の決め方はどちらかが気絶、もしくは降参した時のみ。


 海星大河が「それでいいのー?」とか言って煽ってきたが、それはこちらのセリフだ。


 大方、袖女のオーラにはオーラ総量が決まっているため、時間制限なしの勝負ではこちらの方が圧倒的に有利だとか思っているのかもしれないが、それは大きな見当違いだ。


 そもそも、海星大河側は俺が袖女と毎日訓練していることは知っているはず。なのにこちら側から制限時間なしの勝負を挑むということは、何らかの方法でオーラ総量の上限を伸ばす、もしくは持続させることに成功したということだ。こんなの少し考えればわかるのに煽ってくるとは……そこまで頭が回るタイプではないらしい。


 そんなこんなで俺と袖女は、一旦練習所の入り口まで移動し、袖女の調子を確かめていた。なんだかボクシングのセコンドになった気分だ。


「……ははっ」


 いつもなら、今頃ポーン如きと戦う必要は無いため、また面倒臭いことになったと嘆いていたところだが、今の俺の心情は幸福な感情で包まれていた。


(くくく……まさかこんな面白いことになるなんてな)


 なぜなら、今の俺の目的は袖女を強化すること。袖女にとってちょうど良い相手を用意した時点で、袖女に対しては舐め腐った態度をとってくれることは予想していたが、まさか袖女にとってここまで燃えるシチュエーションを用意してくれるとは思わなかった。


「……袖女」


「……はい」


 当の袖女だが、海星大河に自分との試合を事実上断られた時から目にハイライトがなく、いつもの袖女とは思えないほど静かだ。


 自分との試合をないがしろにされて拗ねているのかとも思ったが、こいつも兵士だ。あんなことを言われて燃えないやつではない。


(内から外に吹き出しそうな怒りを抑えている……ってところか? というかそうでないと困る)


「俺が言いたいことはわかるな?」


「……はい」


 了承の返事をしたにはしたが、この様子では本当に理解できているのか表情で判断できない。


(……いや、言うか)


 俺は袖女にやってほしいことをはっきりと伝えるため、了承の返事をしたにも関わらず、あえてその言葉を口にした。


「……この試合、一撃も貰わずに勝て」


「……はい」


 それだけ行った後、袖女は試合をするために練習所の中へと入っていく。


 その後ろ姿を見て、俺の口角は自然と上がっていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ