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訓練相手

 ちゃんと投稿しますよ〜

「うええ……? ど、どうしよ……」


 帰り道は何の反応をすることもなかった袖女だが、部屋の中に入ってやっと俺の言ったことの大きさに気がついたらしく、まるで家の中ではしゃぐ子犬のように、部屋を行ったり来たりしていた。


「落ち着け袖女。考えたところでそれを実行できなきゃ意味ないぞ」


「考えずにいられないですよ! まさか相手が……」


海星うみほし大河たいが。ポーンの中ではランキングが1番高く、ポーンの1つ上、ナイトになる可能性が1番高い人間の1人だな」


 海星大河。その名前が俺の口から放たれた瞬間、袖女は亀のようにその場でうずくまる。


(ダンゴムシの方が近いか?)


 今の力量を確認するためには、自分より少し強い相手の方がちょうどいいと思ってポーンの中でも上位の存在である白のポーン。さらにその中のトップを選んだのだが、袖女にとってはそれは不安要素らしい。


「そんなに不安か?」


「不安ですよ! 私、海星さんに一度も勝ったことないし……」


 袖女の慎重なところは、長所と言える部分だが……


(……今回はただ不安がっているだけだな)


 慎重と不安は違う。慎重さは自分の勝率を高めることもあるが、不安はただ勝率を下げるだけだ。もしこの不安をプロモーション戦で発揮されていたら、間違いなく敗北していただろう。


(やはり、プロモーション戦の前に練習試合を組んで正解だった)


「そこまで不安がるなよ。せっかく俺が部屋に帰ってすぐに頼みに行ったのによ」


「そうですけど……」


「ならそんなに不安がるな。ただの練習試合なんだ。何も考えず、気楽に行こうぜ?」


 袖女の緊張をほぐすため、これはあくまで練習試合なんだと念を押す。人にとって、本番と練習では訳が違う。緊張度合いを背負っているものも本番と比べて少な過ぎるからだ。


 練習試合だからと言う言葉に安心感を取り戻したのか、額から流れて出ていた汗がピタリと止み、顔からわずかながらだが、不安の色が消え去った。


「……はぁ、あなたを見ると不安がっている自分が馬鹿らしくなって来ちゃいますよ」


「本当に馬鹿らしいからな」


「うるさいです。ほら、さっさと風呂に入って寝ましょう」


(最初に不安がってたのお前だろ……)


 その言葉をぐっと飲み込み、袖女の風呂を待つため、ソファに移動しようとした時、袖女は何か思いついたような怪しい笑みを浮かべて、俺に一言。



「あ、一緒にお風呂入ります?」



「入るか!!」




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