対談 その5
ちょっと複雑になってきたので設定解説のコーナー!
神奈川本部
東京本部と同じく、1つでかいビルがどーんと立っている作り。ぱっと見はただのビルだが、付与がふんだんに盛り込まれており、圧倒的な硬度や自然治癒能力を持っている。
兵士施設が隣接しており、神奈川本部に何かあった場合、そこにいる兵士たちがすぐに駆けつけられるようになっている。
「……身体強化で筋肉を隆起させて弾き返してるんだよ」
「ふぅん。じゃあ次ね」
この問答は明らかに俺の負けだ。矛盾点を指摘された挙句、スキルの情報をかなり抜き取られてしまった。
さらに、黒のクイーンにグリードウーマンとの戦いの一部始終を見られていたことがかなり痛い。先ほど、プロフィールに記載した『身体強化』との矛盾点を指摘されたように、これからも黒のクイーンの前で何か変な動きをすれば、また指摘されるだろう。
これはただの矛盾点の指摘ではない。いわば威圧だ。スキルのことであろうとそうでなかろうと、これから少しでも変な動きをすれば問いただすぞという威圧。
(……これからは周りに黒のクイーンがいないか気をつけないといけないわけか……)
今まで、店主の『対価の代償』により、俺の行動と黒ジャケットが結びつくことは絶対にないため、かなり自由に行動できていたが、黒のクイーンのこの疑い方にスキルへの関心の仕方……
(まさか……)
俺は少し前まで、クイーンやキングはめったなことがないと領地外へ出ないと高を括っていた。
しかし、この対談が始まった直後から感じた違和感。黒のクイーンだけは俺の強さにではなく、俺と言う人物そのものについて問いかけてきた。
(まさか……『対価の代償』発動時、黒のクイーンは神奈川派閥の領地内にいなかった?)
確かに、領地外にいた可能性もなくはないが、領地内にいた可能性の方が明らかに高い。普通に考えれば、白か黒かなどかかわらず、クイーンが領地外に出る可能性など、何か異常事態があったとかでないと考えられない。
(何かあったのか……?)
……今わからないことを考えていても仕方がない。俺にできることは、店主のスキルがあるから教えてしまっても仕方ないという心を捨て、こちらにバレない保証がない状態と同じように挑むのみ。
「次の質問……あなたはどこで寝泊まりしていたの?」
なるほどそうきたか。
「……その質問をした理由は?」
「この対談が始まる前、少しあなたのことを調べさせてもらったのだけれど、兵士施設にあなたの自室登録がされていなかったのよ。その理由を聞きたいだけ。何か不都合なことがあるのかもと思って……ね?」
(またいい質問を……)
黒のクイーンのこちらの急所をつく的確な質問に、俺は再び思考を巡らせた。
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