対談 その4
二郎系ラーメンを食べてお腹パンパンですが投稿します。
(さて……どうでる?)
先に言ったように、既に超有利なこの対談。勝てる策が1つもなかったさっきの問答は、俺が何とか乗り切った。それは黒のクイーンも自覚しているはず。
しかし、次なる問題は今から放たれる質問だ。さっきの問答は何とかなったが、次どうなるかはわからない。対談自体はまだ終わっていないのだ。
(だけど、逆に言えばさっきのように、奥の手のボイスレコーダーの模型を使う必要がないような質問が来るかもしれない……!)
さっきの質問は絶対に回避しなくてはならないかなりきわどい質問だった。まさかこんなに早く切り札のボイスレコーダーの模型を使うとは思わなかったし、最終手段はこの対談で使うべき札ではない。
(ここからどんな質問が出てくるか……当たり前だがそれが1番重要だ)
そう考えている間に、黒のクイーンの口から次なる質問が放たれた。
「じゃ、次の質問……グリードウーマンとの戦い、あなたは少し遅れて現場に到着したと聞いたのだけれど、その時何をしていたの?」
「民間訓練所に行ってたんだよ」
初っ端からあんなにどぎつい質問を仕掛けてきた人物にしては優しめの質問だな。そう感じながら、ここは嘘をつく必要もないので本当のことを話す。
「あら? それはおかしいわね」
最初の問答を乗り切り、自分でも気づかないほど微量に気が緩んでいたこと、覚悟していた割には優しめな質問に見えたこと。その全てが災いし、俺は地雷を踏み抜いてしまった。
「……何?」
「神奈川本部から民間訓練所までは、1番近いところでも徒歩で1時間はかかる場所にある……走って出来る限り早く向かったとしても、あなたが到着する頃には全てが後の祭りになっているはずよ? なのになぜ間に合ったのかしら?」
「…………それは」
(やられた!)
俺は内心、地団駄を踏みたくなるような悔しい気分に駆られる。確かに民間訓練所と神奈川本部にはかなりの距離があった。反射で空を飛ばずに歩いて周りを散策していれば容易に防げたミス。反射で空を飛び、距離の感覚を掴むのをおろそかにしていたのがここで響いた。
(どうする? どうやって――――)
「教えてもらえる?」
(……逃げ場なし、か)
「スキルを使って空から来たんだ」
「あなたのスキルは『身体強化』でしょう? それでどうやって空を飛ぶの?」
プロフィールに書いておいた『身体強化』はまだ嘘だと見抜かれていないようだ。
(……が、俺に逃げ場がないことは変わらない)
「正確には、飛んだというより飛び跳ねたと言った方が正しいな。『身体強化』で強化させた脚力でビルからビルへ飛びはねたんだよ。そうすればかなりの速度で現場に到着できるんだ」
「にしてはグリードウーマンとの戦いでは攻撃を弾き返すような挙動をしていたようだけど?」
(こいつ……そんなところまで見ているのか……)