表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
399/791

対談 その3

 さっきの問答により、手にした情報は2つ。


 1つは俺の話したスキル情報に間違いはないと言うことだ。


 さっき俺は、『この狭い空間の戦いでは、俺の方が有利だ』と言った。


 それに対し、黒のクイーンは指摘することなく、『ええ……そのようね』と返答した。


 これは他でもなく、黒のクイーンの能力は狭い部屋で使うべき能力ではない。威力が高すぎるか、射程範囲を縮めることができないかの2択にまで絞り込めた。


 そこに、俺がグリードウーマンを倒した後に受けた黒のクイーンのスキル攻撃の体験をプラスすると……


(……あの時、攻撃を受けていたのは俺だけだった……つまりスキルの攻撃範囲を俺1人にとどめることは可能と思われる)


 となると、黒のクイーンのスキルは、威力が高すぎて、この狭い部屋では使えないと推測できる。


 この情報はかなりでかい。俺のことを怪しいと考えている以上、キングになることを阻止しようとしてくるだろうし、直接戦おうとしてくる可能性だってある。そういう時、威力が高すぎて自分でも制御できない部分を知っていれば、やれることがかなり増えてくる。


 例えば、そのせいで生まれた瓦礫を盾に使ったり、反射の足場にしたり……対戦相手のスキル情報を事前に入手できているというのは、スキルが主な攻撃手段となる戦場において、凄まじいアドバンテージだ。


(そして、重要なのがもう一つ……)


 先に話したスキル情報はあくまで未来、この先役に立つ情報だった。


 しかし、次の情報は違う。今この場で効力を発揮できる情報だ。


 それは今、黒のクイーンは孤立しており、ボイスレコーダーの模型を持った俺に問答以外の行動ができない点だ。


 さっき、黒のクイーンは明らかにボイスレコーダーの模型をなんとか奪い取ろうとして、ボイスレコーダーの模型がある俺の手の中をチラリと見た。


 しかし、俺の話を聞き、折れることを決断した。


 これは、黒のクイーンはフィジカル……つまり、近接戦闘が得意ではないことの証明。


 それと同時に黒のクイーンは正真正銘1人の状態でここにいるということだ。


 なぜ1人だと思ったのか。それは単純明快、俺がボイスレコーダーを持っているぞとバラした時、黒のクイーン以外にボイスレコーダーの模型を奪おうとした人物が現れなかったからである。


 この話を聞いた時、そんなの当然じゃないか、この部屋には黒のクイーンと俺、田中伸太しかいないんだから……と、そう考える人がいるかもしれない。


 だが、この部屋には黒のクイーンと俺しかいない……その固定概念が危ないのだ。


 黒のクイーンからすれば、この対談は俺の正体を見破るための重要なイベント。絶対に成功させたいはず。なら、伏兵の1人や2人、隠れていてもおかしくはない。


 そして、俺がボイスレコーダーを持っていると宣言し、ポケットから外に出したタイミング。あのタイミングこそ、黒のクイーンにとっての最大のピンチ。伏兵がいるなら、あのタイミングで俺から奪いに来るのが最もベストな選択だった。


 なのに現れないということは、今この部屋には俺と黒のクイーンしかいないという証明。おそらく、ドアの前にいた黒のルークにすら、対談する内容は明かしていないのだろう。


(この舌戦……現時点で俺が有利だぜ!)


 内心ほくそえみながら、俺は次の質問を一言一句、聞き逃さないように耳を傾けた。


 


 

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ