行きつけのあの場所へ
深夜にもっかい投稿するからみんな見てね〜
俺の圧倒的重大ミスにより巻き起こってしまった人混みを切り抜けるため、付き合っているっぽく匂わせることになった俺たちは、女どもの歓喜する悲鳴に巻き込まれる前に、窓から外へ脱出していた。なので今は、絶賛空の旅を楽しんでいるところである。
「……で、どこか行くあてはあるんですか」
俺の右手の中で荷物を持つように抱えられている袖女が、行くあてはあるのかと尋ねてくる。
確かに、今ごろあの場所は俺たちの匂わせにより、女どもの悲鳴や足音でとんでもないことになっているだろう。そしてそれは俺たちが逃げた後もしばらく続くことが予想される。ならその間、どこかに身を隠すのが得策。
それに加え、最近は訓練続きだったこともあり、どこか休める場所が好ましい。
(ブラックもまだ伸びてるしな……)
ちなみにブラックは、俺の左手の中で未だにグッタリしている。全く、近年の若い女は動物に気を使うことすらできんのか。
(なら……)
「喫茶店はどうだ? あそこなら時間を潰すことができると思うんだが……」
その喫茶店とはもちろん、袖女にご飯を作ってもらっていなかった時、お世話になっていた喫茶店だ。
あそこならペットOKだし、袖女だって退屈しないだろう。何より俺が知っている店はあそこぐらいしかない。
「喫茶店ですか……まさかあなたがそんな場所を選ぶなんて思いませんでした」
「何を言うと思ったんだ?」
「家系ラーメン店にでも連れていかれるのかと」
「なめてんのか」
「あんなことしておいてよくそんなこと言えますね」
「……確かに」
俺のやらかしたことを考えると、舐められるのも不思議ではない。
「……ともかく、黒のクイーンとの話し合いまで、喫茶店で時間を潰すぞ。それと1つ聞いておきたかったんだが、黒のクイーンからはどうやって連絡がくるんだ?」
「私のスマホから連絡が来る予定です」
「そうか、ならどこにいても問題は無いな」
俺は一旦、近くのビルの屋上に着地した後、大きく踏み込み反射を発動する。目指すのは……
「行くぞ」
行きつけの、あの場所だ。