表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

387/783

久しぶりのこの感覚

「ハァ……はぁ……」


「さて……今日はここまでかのう」


 あの後も戦いは続き、最後には体力切れで俺が倒れるという結果に終わった。


「くそ……こんな……」


 おじいさんに対して、黒剣を投げるなり、小石をつかんで投げつけてみたりいろいろ試したのだが、結局直前で瞬間移動され、体の節々に見えない攻撃をヒットされてしまった。


 一体、おじいさんのスキルは何なんだ。単純な瞬間移動なら、相手の視界から外れた不意打ちで難なく突破できるが、おじいさんの場合、不意打ちしたとしても、相手の視界から明らかに外れていても、こちらの攻撃に気づいていなくても瞬間移動を使われてしまった。


 それにあの見えない攻撃。至近距離でないと攻撃できないは明らかだが、それにしてもガードできなさすぎる。特定の場所に衝撃を発生させるスキルなのだろうか?


(でもそれだと、あの瞬間移動の説明がつかない)


 デュアルは判明しているものだけでいうなら桃鈴才華しかいない。相手は白のキングだ。もし白のキングがデュアルなら、今頃日本中に伝わっているはずなので、それもない。


「……くそぉ」


「まぁそう悔しがるでない。初っ端の剣での攻撃には驚かされたぞい。実際に気づけんかったからな」


 慰めをかけられても、俺の心は晴れやかにはならない。なぜ勝てなかったのか、なぜ攻撃が当たらないのか、それができない自分に対する悔しさが体中に巡り巡ってくる。


(……へへ)


 しかし、それと同時に感じる強くなっている感覚。自分の手数の引き出しが増えていく心地良い感じ。


 俺が求めていたのはこれだ。悔しさの中に感じる強くなっていく感覚。体の奥底から膨れ上がっていく自信、悔しさと自信。この矛盾した感情が、喧嘩することなく体の中で調和していく。


(久しぶりだ……これを待ってたんだ……!)


 ニヤつきが止まらない。この感覚が大好きで……


「2時間もぶっ続けで戦っておったんじゃ、そうなるのも当然。今日はここまでにしておこうか。老体には少しこたえたわい」


「ああ……わかった」


 おじいさんから水を受け取り、訓練所を去っていくおじいさんを見つめる。


「まだまだだな……」


 俺はまだ強くなれる。そう確信しつつ、自分が目指しているものの果てしなさを再確認した。

 

 

 強く……! なっている……!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ