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次の日、対談へ

 久しぶりだと思う。日常回。

 深く、深い暗闇の中、俺は心地よい眠りについていた。


 暗闇といっても、気絶した時の暗闇ではない。自分は眠っていると、休息を得ていると本能的に感じれている。まぶたによって光を遮られた瞳は、その眠りをやめてまぶたを開ける動作をとろうとしない。このままいけば、あと3時間は睡眠をとってしまうだろう。


 しかし、安定していていた睡眠に1つの異常が起こる。



 顔には、取り付けられている機能として、耳という情報機関がある。それは目でも肌でも感じたことができない唯一の情報、音を聞き取ることができるのだ。


(んあ……)


 その耳から伝わる不自然な音。それは何故か、一回聞いただけで人工物が出している音だとわかった。


「んん……」


 そしてその音は、俺は安らかな睡眠から目覚めさせるのに充分すぎる大きさだった。


(あーあ……起きちゃった……)


 人間の3大欲求の1つ、睡眠欲を解消できる眠りから覚めてしまったことに名残惜しさを感じつつ、袖女との朝練を思い出した俺は、ゆっくりとまぶたを上げる。そのまぶたはさっきまで眠っていたからか、目ヤニが邪魔してうまく開いてくれない。


 少しずつ少しずつ……端から見たら開いているか開いていないのかわからないほどに小さく目を開き、その小さな視界から目の前で起きている光景を覗く。


「起きてくださーい。朝ですよー……」


 そこにいたのは、俺の耳元に向かってささやき声を出す袖女。なるほど、耳から伝わってきた音の正体はあれか、通りで自然の音じゃないと思ったわけだ。


 しかしまぁ……


(どういう風のふきまわしだ?)


 基本、こいつは俺にあたりがきつい。いや、きつかったと言ったほうが正しいな。最近はだいぶ優しくなった。


 ただ、俺に対してこんな起こし方をするのは稀、というか一回もなかった。憶測にすぎないが、大方俺に対するイタズラみたいなものだろう。じゃなきゃ異性にこんなことしない。


 おそらく、今の袖女の脳内は……


(『ふふふ……これで驚かせて、きったない赤面顔を見てあげますよ!』……みたいな感じかな)


 ムカッ


 なんだろう。袖女の脳内をイメージしたら無性に腹が立ってきた。



(やり返して――――いや)



 一方的にこっちが驚かせてやる。



 そう考えた時の俺の行動は早かった。



 まず、弱めの反射でソファを壊さない程度の速度で両腕を動かす。しかし、それだと加速力だけで、ソファから離れた両腕が袖女を掴むまでに時間がかかる。


(だから……!)


 そこを闘力操作でさらに加速。反射で得た加速力スタートダッシュを闘力操作で最高速マックススピードに高める。


「は――――」


 そのまま袖女の頭をがっしり掴み、こっちの頭に引き寄せて一言。


「――――おはよう」


 瞬間、袖女の顔が真っ赤に染まった。



(勝ったぁ!!)

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