事情聴取
次はいつも通り、深夜1時過ぎです!
ブラックのためのドッグフードを買いに行こうとした時、鳴り響いたインターホン。それに反応しドアを開けると、そこにいたのは黒のクイーン、斉藤美代。全ての神奈川兵士の憧れの存在だった。
そして現在、テーブルをさかいに面と向かって席に座っていた。
「……ど、どうされたのでしょうか」
当然のことながら、私の体はガチガチ状態だ。なんせ目の前にいるのは黒のクイーン。さらには私の部屋に直々に来てくださっている。目の前にいる存在の大きさと、そのシチュエーションも相まって心臓の鼓動音は最高速だ。
「ええ、少し私用でね」
(私用で……!?)
任務が何かを頼まれると思っていたのだが、まさかの私用。黒のクイーンが私の部屋に来てわざわざ私用だと!?
その事実に私の体はさらに硬直する。
(え……? なんだ? 何かした?)
過去の記憶を遡り、何かやらかしてしまったことはないかと思案する。
……だが、いくら考えても思い当たることが何もない。
ここ最近は任務がなさすぎて、そもそも斉藤さんと関わった機会がほとんどなかったからだ。
「……で、聞いて欲しい話があるのだけれど」
「あ、はい!」
挙動不審な私とは裏腹に、斉藤さんはとても落ち着いた様子で淡々と言葉を述べる。
「私と田中伸太を引き合わせて欲しいの」
「……はい?」
――――
一方その頃、伸太は……
空を飛んで袖女の部屋に向かっている最中、俺は自分のスマホをスワイプし、白のキングについて調べていた。
「んー……やっぱりか……」
しばらくの間、白のキング、八木源五郎と検索して調べていたのだが、やはりキングは神奈川派閥の中でも機密事項なのか、インターネットの海に流れているはずもなく、単なる指の運動の時間になってしまった。
(よく考えてみれば、インターネットに名前が知られていたら東一の教科書にも出るか……)
自分のやっていたことの愚かさにようやっと気づき、やっていたことの無駄さに落胆しつつも、明日から神奈川最強、白のキングに相手をしてもらえることに、俺の感情は喜びに包まれた。