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変化する訓練方法

「ふぅ……これ以上は無理……」


「そうか。それでいい」


 そこから20分後、ついに袖女のオーラの総量が、全身に巡らなくなるほど少なくなった。


 俺にとってはここからが本番。オーラが少なくなった状態で、戦える方法を見つける。これが重要になってくる。


 オーラをギリギリまで使い切る訓練法は、効果的であり、確かにオーラの総量を増やすことができるのは間違いない。


 だが、そういった地力を増やす訓練法は、継続して初めて効力を発揮する。袖女の晴れ舞台であるプロモーション戦まで後2週間とちょっとしかない。あまりにも時間が少なすぎて、増える量なんてたかが知れている。


 プロモーション戦はチェス隊同士の戦いだ。お互いの力が拮抗し、長丁場になることが想定される。袖女にとっては、オーラが切れる終盤戦が大きな山場になるだろう。


 それらを聞いた袖女もコクリと頷き、それに同意する。それを確認すると、俺は次の訓練の内容に関して話した。


「これから行うのは、そういう終盤戦用の訓練……ギリギリの状況でも最低限戦えるようにする訓練だ」


 俺は昨日、袖女の部屋に帰る前に用意しておいた大量の砂利をジャケットのポケットから取り出す。


「俺がこの砂利を動かす。3回まで当たることを許すから、5分間避け続けて見せろ」


 その言葉を放ち、エリアマインドを発動。砂利を1つ浮かべ、それ以外の砂利を、野球のピッチャーの要領で袖女に投げつけた。









 ――――









「うわっ!?」


 彼が次の訓練の内容を喋った瞬間、大量の砂利が弾幕となってこちらに迫ってきた。


 そのあまりの速度に、残り少ないオーラを使って砂利をある程度破壊し、その隙を使って回避してしまう。


(しまった……! 残り少ないオーラを……!)


 最初からオーラを使っての回避。それが悪手なのはさすがの私でもすぐにわかった。


 しかし、そうやって後悔する時間もなく、私の視界にあった彼の姿が一瞬にして消える。


(後ろ!?)


 後ろから感じた気配に、反射的に頭を回転させ、後ろを向く。


 そこには、先ほどまで無数に飛んでいた砂利を回収し、こちらに再度投げつけようとしている彼がいた。


「むぐわっ!?」


 再び投げつけられた砂利に、腰を無理矢理ひねってギリギリで攻撃を回避する。


「……っあ」


 無理矢理腰をひねったことによる弊害か、腰にズキリと痛みが走る。


「……あ?」


 その瞬間、おでこにとんと、何か小さいものを押し付けられる感覚を感じる。


 その感覚の正体は小さな小石。私はそれに気づかず、頭への接触を許してしまったのだ。


 それに気づいた私はすぐに頭を離し、後ろに離れる。それに続いて、追いかけるように小石も私に向かってきた。


「なっ!?」


 私はそれに対して驚愕の言葉を溢す。


 なぜなら、この砂利たちの原動力は彼の投擲によるもの。1度勢いが止まったらもう二度と動くことは無いはず。しかし、この小石だけは私のおでこに当たり、勢いが殺されたはずなのに、加速しながらこちらに小石が飛んでくるからだ。


(しかも、横に動きながら向かってくるから軌道が読めない……)


 横にギザギザを描きながら小石が向かってくるせいで、ある程度の予測すらままならない。


 そして、その小石にばかり構っていると……


「ゔっ!!」


 後ろから砂利が大量にぶつけられる。


(しまった……!)


 目の前の小石の異常性に気をとられ、他の砂利たちに注意を向けることができなかった。


「あ……ぐ……」


 痛みとオーラ切れで訓練所に横たわる私に、彼が近づいて声をかけてくる。


「アウトだ。もう一回。早く立て」


 どうやら彼に容赦は無いようだ。

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