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遅刻VS気絶

 

 その日の夜……


 神奈川本部にある医務室に3人をぶち込んだ後、俺は今後のためのとある用事を済ませ、袖女の部屋に帰ってきた。


「……ちょっと遅れたかな」


 時刻は夜の12時。いつもなら遅れたとしても10時には帰ってきているので、それと比べるとだいぶ遅刻している。


 こんな時間では、さすがの袖女も見切りをつけ、夜ご飯を片付けてしまっているかもしれない。それに備え、コンビニで牛丼を購入し、今に至る。


「そろそろ、違う方法を考えないと……」


 王馬との戦いと今日の戦いで、神奈川の上層部には既に認知されてしまっている。監視カメラからは映らないが、もし誰かに肉眼で確認されてしまった場合、わざわざ負う必要のない疑いの目を向けられてしまう。


(少し考えてみるか)


 俺は窓を開き、部屋の中に入った。


「げっ……」


 中にいたのは袖女。しかし、いつもと違い窓の近くで待ち構えており、表情もムッとしたものになっている。


「げっ、とはなんですか。げっ、とは」


「だってそんな顔してんだもん」


 俺がそう返答すると、袖女はさらに表情筋を引き攣らせる。


「ほぉ〜? こんな夜遅くに帰ってきたあなたがいいますか! あなたが!」


 袖女は露骨に声量を上げ、こちらに大股で近づいてくる。さすがにこれには反論のしようもない。こちらが一方的に悪いのは明白だ。


「悪かったって……ちょっとやることがあったんだよ」


「……それは、今日のこと関連ですか?」


 今日のこと、というのは十中八九グリードウーマンとの戦いのことだろう。まぁ間接的には関連しているが……


(あ、そういえば……)


「お前、グリードウーマンたちが攻めてきた時、気絶してたらしいじゃん」


 そう俺が発言すると、先ほどまで活発に動いていた袖女の口が途切れ、もごもごと無言のまま口を動かし始めた。目も泳ぎ、明らかに動揺している。


「そ、それがどうかしたんですか……?」


「どうしたもこうしたもあるか。なんで神奈川派閥を守るべきチェス隊様が本部に攻められている時に医務室でぐっすり眠ってるんだよ」


「うぐ……」


 俺の直球どストレートに明らかなダメージを受ける袖女。よし、遅刻から話題を逸らすことに成功している。


「で、でも……それには理由がありまして……」


「ほほーん? 本部のピンチよりも重要な理由ねぇ?」


 勝った。この言葉に反論することはまず間違いなく不可能。後はいい感じのタイミングで許してやれば完全勝利。戦闘でも勝利し、舌戦ぜっせんにも勝利する。勝利の方程式は決まった。


 と、思われたが……


「でもあなたも今遅刻しましたよね?」


「…………」


 はい。引き分け。

 




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