天上天下
僕の好きな食べ物は牛丼です。
黒のクイーン、斉藤美代。黒のロングヘアーに長身、服の上からでもはっきりとわかるほど豊満な胸を持つ女性。
その名は神奈川派閥だけでとどまるところを知らず、となりの東京派閥はおろか、全国にまで名前をとどろかせる最強の女兵士として君臨している。
そんな斉藤美代だが、女優としても天下無双の活躍をしており、そちらの仕事でも全国クラスの活躍をしている文武両道を体現したような人物だ。
(生でお目にかかれるとは……)
いつかはお目にできるとわかってはいたが、まさかこんなタイミングで目にすることができるとは思わなかった。
しかも、特別なのはその見た目だけではない。驚くべきなのはその威圧感……いや、違う。威圧感というより、風貌だろうか。
顔立ち、ボディライン、姿勢、すべてに魅了される感覚。それを見る必要もなく、そこにいるだけで変わる。例えるなら、今まで普通の市街地にいたのに、急にバラのお花畑に転移したようだ。
「2人とも、そこで待っていなさい」
宙にふわふわと浮かぶ彼女は、全く変わらないスピードで地面に降り立ち、こちらに近づいてくる。
(うおっ……)
絶世の美女がこちらに近づいてくる光景に、頭がくらりと揺れる。
それに対して、シュルカーは俺と真逆。大量の冷や汗を流しながら、虚勢を張るように口角を釣り上げていた。
「お前さえ……倒せば!!」
その声と同時に、シュルカーは貝殻の中に入る。
(転移か!)
なるほど。転移による空間移動を利用した不意打ち。それなら確かに、斉藤美代のスキル次第で勝利できる可能性はある。
もし、斉藤美代のスキルがシュルカーの転移貝殻に対抗できないものであれば、勝利の可能性は明確にある。
だが、それと同時に、敗因となり得るのも斉藤美代のスキルだ。もし、斉藤美代のスキルが転移貝殻に対応できるものだったとしたら……
(最初からシュルカーに勝ち目はない……)
これにどう対応するのか、斉藤美代を見ると、ため息を1つ吐いた後、両目をゆっくりと閉じ、こちらにも聞こえる声で一言、言葉を発した。
「天上天下」
「……え?」
その一言で、転移していたはずのシュルカーが、地に伏した。
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