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感じとる強さ

 いくら距離を取ったところで、凄まじいスピードで接近され、せっかく作った距離を無駄にされてしまうと考え、自分から選んだ接近戦。だが、早くも私はその選択を後悔していた。


「ぐっ……がぎっ!? ぎ……!!」


「…………ふん」


 私のスキルは、物理攻撃以外の攻撃を吸い取り、その分、自分の身体能力が向上するスキル。


 そのため、私の得意分野は接近戦。相手の攻撃を吸収しつつ、責め立てるスタイルだ。


 今もなお、黒のビショップの攻撃を吸収しパワーアップしている状態だ。なので接近戦は得意分野であり、根本的な技術でも柔術や空手も身につけている。スキルの力だけで自分が強くなった気でいる人間の皮を着た別種族に負ける気など毛頭なかった。


「べぶっ……ぐにゃっ!?」


 しかしどうだ。この惨状、この現状。相手にこちらの拳は届かず、相手の拳は私の腹に、顔に、下半身に届き続ける。


 無論、全てではない。ガードできるところはきっちりガードし、腰や背骨の動きを使って、回避行動もとっている。


 対して、この男はその場から動こうとしない。回避行動も取らない。腕だけで防御と攻撃を行っている。どちらの方が戦闘に置いて正しいスタイルかなど、小学校低学年の算数の問題よりも簡単だ。


 でも当たる。当たってしまう。この男に何かしらの武術を使っている描写はない。


 なのにこのざま。武術を体得した私が一方的に押される展開。


 ……しかし、私自身に一切の迷いはなかった。……納得しているのだ。この五体から伝わる衝撃と痛みで、いやというほど納得できる。


(この男が……いかに修羅場をくぐりぬけてきたか)


 技術、と言う問題をチャラにできるほど、実戦で鍛え抜かれた戦闘においての圧倒的なかんと練度。たったその2つだけ。されどその2つ。武術というもので加算される戦闘力など、この絶対的な2つのものと比べれば、毛布に潜むダニに等しい。


 道場で習う武術と、実戦でしか体得できない才能センスを超えた経験センス。どちらの方が強いかなど、火を見るより明らかだった。


 そう思っている間にも、男の拳が止まる気配は無い。攻撃が着弾するたびに、体が右へ左へ、サンドバックのように大きく揺れる。


(とにかく……今は安全地帯へ!)


 その状況に我慢できなくなり、ジェットパックを大きく噴射させ、後ろに下がる。だが、それを逃すほどこの男は甘くない。私が後ろに下がったと同時に、同じ速度で前に近づいてくる。これでは距離が離れない。


「離れろっ……」


 そのつぶやきとともに、私の苦し紛れの蹴りが男に向かって飛んでいく。が、男は簡単にそれを掴み取り、万力のような力で締め付ける。


「うぐっ……ああああああ!!」


 痛みから来るその絶叫を聞いた男はニヤリとその口元をいびつに歪め……



 遥か彼方かなたにある地面へ、大きく振り降ろした。



 無論、私にどうこうできる術はなく……大きな音を立て、道路に激突した。




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