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ニチジョウ

 させたす

 ぼーっとフロントガラスを見る。


 道の凹凸にゴトゴトと揺られながら、車により高速で流れていく景色を見ていく。

 その景色を見ながら、パン屋でのことを考えていた。









 ――――









「というか、そもそもウルトロンってどんな見た目をしてるんだ?」


 俺の疑問に店主が答える。


「実物を見たことがないので、定かではありませんが……強い圧力を加えた衝動で高熱が発生するので、黒いのは間違いはありません……交渉現場に黒い物体があれば、それでしょう」


「ふぅん……」


(黒い物体か……黒かったら目立つか……)


「では、そろそろ向かわねばならんな……おい! 伸太! すぐにでも神奈川に向かうぞ! ……2ヶ月以内に任務達成できなければお前死ぬからな!」


「ちょっ……まて! その脅し方は怖い!!」


 俺は慌てて相談室を出て行こうとする。

 その途中、店主にちょいちょいと手招きされる。何だと思いながら近づくと……


「気をつけてくださいねぇ〜、このA市を抜けるまでは東京都内なので……」


「あぁ……それは気をつけるが……」


「それに……私は誰の味方でもないですからね?」


「……? それってどうゆう……「おーい! 伸太! 出発するぞー!」……」


「およびのようですよ?」


 店主の言葉が気になったが、確かにA市を抜けるまでは安心できない。早めに乗っておいた方が良さそうだ。

 俺は、後ろで手を振る店主に少しの不安を覚えながら車に乗り、出発した。









 ――――









「私は誰の味方でもない……か」


 唐突に店主が放った一言を思い出す。それがどういうことなのかわからないが、俺に向けたメッセージである事は確かだ。


「ここから先、通行車のチェックを行っておりまーす! 安全のためにも、ご理解くださいませー!」


(警察による通行車チェックか……おそらく前日の事件の影響だな……もうこんなとこまで広がっているのか……)


 主要都市、東京ならまだわかるがその先のA市にまで1日で広がっているとは、最近の情報網は凄まじいものがあると思いつつ、横目でチラリとハカセを見る。


「……おい、ハカセ……これ本当に大丈夫なんだろうな?」


「当たり前じゃろ! 黒船に乗ったつもりでいろい!」


 ……その船が泥船でないことを祈るとしよう。


 さて、なぜこんな会話が繰り広げられているかと言うと俺の格好にある。黒のジャケットは変わっていないが、そのかわり俺の顔にハカセと同じペストマスクが取り付けられていたのである。

 これにより、君悪がってあまり深く追求して来ないらしい……本当かどうかはしらんが。


「OKです!次の方どうぞー!」


 次に俺たちの番が来た。


「次の方こちらに…………」


 瞬間、警察の顔がニコニコ笑顔のまま固まる。ハカセの言った通り、少し気味悪がっているようだ。


「……まだか? 急いでいるんじゃが」


「はっ……! はい! もう大丈夫です! どうぞ!」


(……まじで?)


 本当に抜け出せてしまった。


「うっほほ〜い!! 見たか! ワシの作戦を!」


「お、おう……すげえな、いや、まじで」


「よし! このまま神奈川を目指すぞい!」


 張り切るハカセを見ながら、こんな日がたまにはあってもいいなと思った。









 ――――









「…………てなわけで、あの2人はA市を抜けようとしていますよ」


「ありがとうございます」


「こんな私に情報を求めるとは、派閥側も大変ですねぇ?」


「……何だろうが関係ありませんよ。使えるものは使う。それだけです」


「さすがは"黒のポーンまで上り詰めた女"ですね。ずいぶん軟体な精神をお持ちの様だ」




「…………」




 物語は――――加速していく。











 書くことナイチンゲール

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