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医務室

  

「よいしょ……」


 私は気絶したひよりと日菜っちの2人を担ぎ、廊下を歩いて医務室に向かっていた。


 重さに関しては、普段鍛えていることもあって、女の子2人分程度では何とも感じない。むしろあと10人は肩に乗ってくれていい位だ。


「せ、旋木先輩……? それは……」


「ああ大丈夫! ちょっとポカやっちゃっただけだから! 心配してくれてありがと!」


(はぁ……これで5回目だよ……)


 訓練所から医務室への距離はそこまで長くは無い。時間にして、歩いて5分もかからない程度だ。なのに私が担いでいる2人について話しかけられたのはこれで5回目。


 やはり、チェス隊の2人が私に担がれている光景が、嫌でも目に入ってしまうのだろう。何ならすれ違った人全員に聞かれているような気がする。


(ん? ……あ)


 そんなことを思っていると、いつの間にか医務室の前にたどりついた。


「先生ー! けが人ですー!」


「はいはい……今日は……珍しいお客さんですね」


 私は医務室にいる先生に2人を見せ、医務室の近くにある椅子に座りこむ。2人の戦いに感化され、今すぐに訓練したい気持ちはあったが、2人の容体を聞かない限りはこの場を動くわけにはいかない。


 私は訓練所へと進もうとする足を押さえ込み、先生は2人の体をチェックする。


(でも……そっか……ひよりが……)


 2人が戦う前は、日菜っちが圧勝すると思っていた今回の試合。その結果は私の予想を大いに裏切り、相打ち。下手をすればひよりが勝っていたかもしれないほどの試合内容だった。


(ひよりも……成長したなぁ)


 ひよりがチェス隊に入った時から交流がある身として、我が後輩の成長は、素直に嬉しかった。


 心の中に広がった嬉しさを噛み締めつつも、2人の容態を調べ終えたらしい先生が、私の前に来てこう告げた。


「2人ともただ気絶しているだけですね。少しすれば目を覚ますと思いますよ」


「そうですか。よかった……」


 その言葉を聞き、私は安堵の表情を浮かべる。何しろ、ひよりが放った最後の一撃はかなりの威力だったし、そのひよりも石像たちの攻撃を常に受け続けていて、何か体に支障をきたしてもおかしくないと思ったからだ。


「2人とも外傷が酷いので、処置はしておきましたが、完全に治すには1日ほどかかりますが、それはご了承下さい」


「はい。それは大丈夫だと思います」


 1日で治るのなら、もうすぐ始まるプロモーション戦には特に影響は無い。2人ともプロモーション戦には、ベストな状態で挑めることになるだろう。


(ああ……待ちきれない!)


「……はい。まぁこんなものですね」


「ありがとうございます!! じゃぁ私も行ってきます!!」


 先生の話が終了した瞬間、目にも止まらぬスピードで医務室のドアを破壊し、訓練所に向かうための廊下をダッシュで駆けていく。


「2人とも頑張ってるんだ、私も頑張らなきゃあ!」


 と、その時だった。


 踏みしめている地面が一気に揺れる。最初は地震かと思ったが、揺れとともに爆発音が聞こえることからこれはただの地震ではないと推測できる。


(じゃあ、一体何が……)


 揺れが一時的に収まった後、緊急用のサイレンとともに、全体アナウンスが流れ出した。


『神奈川本部への攻撃を確認。現場に急行できるチェス隊はただちに急行してください。繰り返す――――』


「本部への攻撃……!?」


 いきなり本部に攻撃してきたことに疑問を感じつつも、チェス隊の責務を果たすため、訓練所への道から方向転換し、神奈川本部の出口への道を駆け出した。


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