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たった一瞬の力

 王馬のスキルの攻略法。普通ならこんな少ない時間で攻略するのは不可能と思われるだろう。


(ただ……ヤツは大きなヒントをくれた)


 向こうから開示してきたスキル情報。あれがなければ相手のスキル特定にかなりの時間を要した。


(……こいつに限ってはそんなにスキルを調べる必要もなさそうだがな)


 これが白のビショップとは恐れいった。神奈川派閥が劣化したのか、はたまた俺が強くなりすぎたのか……


 まぁ今はそんなことどうでもいい。肝心なのはあのスキルの攻略法だ。


 まず、王馬は自分のスキルのことをあらゆる攻撃を無効化するスキルと言っていた。だが、その言葉は完全に正しいわけではない。


 それが分かったのは蹴りを入れたあの時だ。あの時、俺の蹴りでの攻撃は無効化されるわけでもなく、違う方向に受け流されていた。


 このことから、王馬のスキルは攻撃を無効化するわけではなく、攻撃を別の方向に移す。俺の反射のに似たような能力だと想定できる。


(となると、いくつか疑問が浮かぶ……)


 蹴りを入れた時の王馬の反応速度。王馬は明らかに反応が遅れていた。なのにスキルだけは俺の速度に反応し、攻撃を弾いた。


 ここが1つ目の疑問。なぜ王馬自身が気がつけていないのに、スキルが発動したのかだ。単に常時発動型のスキルだからと考えればそこまでだが、常時発動型のスキルにしてはおかしいポイントが1つだけあった。


 それが2つ目の疑問。地面にパンチを入れた時だ。


 あの時の攻撃は確かに地面に当たっているように見えた。それ自体は何かおかしいことでは無い。だが、王馬のスキルが常時発動型のスキルだと考えると、おかしいことではないその行動が疑問へと変わる。


(何故、地面に攻撃できたのか?)


 常時発動型のスキルなら、地面へのパンチが着弾する前にスキルが勝手に発動し、拳が触れることなく地面を砕くことになっていたはず。なのに、あの時だけ、地面に触れた後スキルが発動した。


 これはなぜなのか。最初、俺は必要に応じてオンオフの切り替えができるスキルなのかと思った。しかし、オンオフの切り替えができるスキルなのなら、あの蹴りでダメージが入らなかったことは不自然。


 そこから導き出される答え。それは……


(おそらく、ヤツのスキルの正体は、目に見えない1枚の特殊な板のようなもの……)


 それしかない。本当に仮説でしかないが、王馬のスキルは目に見えないかつ、板に加わった衝撃を別の方向に流すことができる特殊な性質を持つ板をドローンのように動かしているんだ。


 そう考えれば、先に説明した2つの疑問にも納得がいく。蹴りもその板が勝手に動いたと考えれば納得できるし、地面へのパンチも、板が単純に動かなかったと考えられる。その後にスキルが発動し、地面へ衝撃を加えたのだ。


 このことは王馬自身も理解できていないだろう。自分のスキルのことを詳細に調べようとか、面倒臭いこと、あの性格ではしない。俺の勘がそう言っている。


 なら話は簡単だ。相手は1枚の板を自在に動かし、こちらの攻撃を弾いてくる。だが、その板が防御のために移動できる速度だって限界があるはずだ。


(なら……一瞬で大量に攻撃を加えれば)


 俺はそう思いつつ、王馬の目の前に一瞬で移動し、腕を組んだ状態で何発も蹴りを入れた。



 1枚の板では対処しきれず、攻撃が通るはず。



「……こんなふうにな」



 俺の視線の先には――



「ぐ、わ……で、すわ」



 蹴りによって吹っ飛ばされ――



「イヤァァァァァァ!!!!」



 ガラスの仕切りを破壊し――



「嘘、嘘! こんなの嘘よおおぉぉ!!」



「王馬様ああぁぁぁ!!」



 観客スペースで気をうしなっている王馬がいた。



「ふぅ……」



 俺は首を鳴らし、周りに聞こえるようにこう告げる。




「ここまで楽な戦いも久しぶりだな」



 次の日、神奈川ランキングは大きく変動。俺は驚異の大躍進をすることになる。









 ――――









 その日の深夜。


「ワン!!」


「悪いブラック……敵のレベルが高かったから連れて行けなかったんだ……」


 その日、外に出れずご立腹なブラックに怒られてしまった。



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