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幼なじみ

 出せた〜

 次の日、俺はまたうつろな目で登校していた。

 ボサボサで上にはねている髪の毛、無駄に180ある身長、あまり鍛えてないてない体。どれをとっても好印象は得られない。そんな俺である。



 …………身長180センチな事は好印象が持てるのかな。



「……」


 自分に向けられる悪意ある目線、ニヤニヤした顔、もう見飽きてしまったがやはり辛いものがある。

 とっとと学校に行ってしまおうと思っていた……その時。


「おーい! 伸太ー!」


 その一言で全てが変わった。俺に向けられていた悪意ある視線は一気に憧れの視線へ、ニヤニヤした顔は惚けているような顔に変わり、俺の隣に行こうとしている人物にむけられる。


「おはよ! ちゃんと朝ごはん食べた? 宿題してる?」


「お前は俺の母ちゃんかよ、ちなみに答えは見せんぞ?」


「ゔっ……そこをなんとか〜」


 こいつは桃鈴ももすず才華さいか、140後半の低身長で腰まである長い青みがかった黒髪にきれいな目、身長が低いくせに出ているところははっきり出ている奴だ。その上この女、ボクっ子である。


 俺の幼馴染で昔からの仲だ。こいつからの誘いで兵士志望で東一に入学した俺だが、結果はご覧の通りだ。


 俺は落ちこぼれで才華はエリートコース、名前の通り、華のような道を歩いている事だろう。


 最初誘われた時はもしかして「俺のことが好きなのでは!?」なんて思っていたことだが、今ではもうこいつのことなんて少しも好きじゃないし、そんな希望も抱いていない。


 まぁもうここまで言えばわかるだろう。こいつはめちゃくちゃモテるのだ。男はもちろんのこと、女子まで告白してきたりする。まぁ当の本人は断っているようだが。


「いやー昨日は疲れたよぉ〜あのロボット、最初は余裕だったのに結構強くなっちゃってさ〜」


「…………そうか」


 力なく答える。誰もがするであろう世間話も俺からしたら嫌味にしか聞こえない。


「ねぇ……最近変だよ? あんなに元気だったのに……何かあったの?」


「…………なんでもねえよ」


「よくないよ。幼なじみでしょ? 何かあったら相談してよ! ねぇ! 何が「お前には関係ない!!!!」……っ!」


しまった。ついつい大声を出してしまった。


「すまない……でも本当にいいんだ……大丈夫だから……」


「そっか……ごめんね……嫌な事聞いちゃったみたい。」


ゆっくりと登校する俺たち、それ以上は才華も何も答えなかった。


「ねぇ! 才華ちゃーん! 一緒に学校行こー!」


 隣に俺がいることを気にも留めず、才華を誘ってくる学校の上位層のやつら。才華は断ろうとしていたようだが、こちらを見て、俺に睨まれたと思ったのか女子生徒の1人に連れられ、向こうへ行ってしまった。別に睨んだわけでは無いのだが。





 学校に着くと2年生の校舎へと向かう。東一は1から3年生ごとに校舎が存在し、1つの学年ごとに7クラス存在する。

 最初はこの豪華な施設に心を躍らせ、これからの自分の活躍に心を躍らせたものだが、今では校門が地獄の入り口に見えるようになってしまった。


 そうして、いつも通り下駄箱へ向かう途中。


「よう無能力者?」


「……三山」


 三山とばったり会った……正直この男は得意ではない。自分の力を自慢するし、性格は女をもて遊ぶクズ野郎だ。



 スキルが強い分余計にタチが悪い。



 三山が俺の耳へ顔を近づけて横切ろうとする瞬間……


「あんまり調子に乗るなよ? ゴミが」


 ……大方、俺がよく才華と一緒に登校していることからの嫉妬だろう。

 これは中学時代から何度もあったことだし気にも留めなかった。





 ……だがこの後、状況が一変するような出来事が起きる。



 まだだ……まだ頑張れるよ……!!

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― 新着の感想 ―
[一言] このヒロインだかハーレム要員だかになりそうな幼馴染みに全く良い印象が持てない
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