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誓い

 ああああああああああ

 ついに本部の入り口に入った。

 敵地に来たと言う無意識の緊張が俺の体を包み込む。

 ここまで緊張した時が今まであっただろうか。


「…………」


「あ……うっす……」


 俺の横を1人の職員が通り過ぎる。反射的に挨拶をしてしまったがあまり見向きもされなかったようだ。


(それにしても……)


 俺は世間から見れば人を殺している殺人犯なのに顔見ても動揺しないんだな、なんて思っていると。


『なぁに、今の世間のニュースの影響力なんかこんなもんじゃ、ニュースを見たところで結局兵士たちがどうとでもしてくれると思っちょるんじゃよ』


 博士がスチールアイ越しに語りかけてくる。そういえば俺もそんな感じにニュースを見ていたかもしれないな。

 そんなことを思っているとエレベーターの前にたどり着く。エントランスの横に設置してあったので簡単に見つける事ができた。


「よし、着いたぞハカセ」


 こんな時間なので周りには誰もいないが、誰かが入る可能性もあるので小声で話しかける。

 ……周りから見たら独り言言ってる変人にしか見えないなこれ。


『よし! 周りに誰もいない内にとっとと中に入るんじゃ!』


 言われなくても俺はエレベーターに乗り込んでいく、

 あとは地下に行くだけだと思いエレベーターのボタンを確認する……3階……2階……1階……ん?


「おい、ハカセ地下のボタンがないんだが……」


『ん? あーすまんすまん、それは特定の順でボタンを押さんと地下にいけん仕組みになってるんじゃ、最近ボケが激しくなってきてなー』


(このボケジジイ!! そのまま忘れてたらどうするつもりだったんだよ!!)


 そう思いながら特定の順にボタンを押していく。

 最後のボタンを押すと上の電子版にB1と表示される。

 エレベーター特有の浮遊感を感じつつ、石像のように体を固まらせる。


 ピンポーン……地下についたのだろう。こちらの気持ちも知らないで陽気な電子音が鳴り響く。


 エレベーターのドアが開く。


 そこでは……


 まるで地下街かと思えるほどの……


 広大な施設が広がっていた。


「なんだ……これ」


 無意識に言葉をつぶやくとハカセが聞いていたのか丁寧に返答してくれる。


『……レベルダウンのためだけに作られた施設じゃろうな。それだけ東京……いや東京派閥にとって大事なものなんじゃろう』


『それをワシらが今から根絶やしにするんじゃ……クククッ、今からでもゾクゾクするのう』


(全くこのジジイは……ドンだけ血の気が多いんだ)


 そう言っている俺も少し武者震いしていた。もう数分で復讐できると思うとたまらない。それが体をつき動かす原動力になっていた。


「ハカセ、左から3つ目の廊下から数えて3番目の部屋だったよな?」


『うむ、そこがレベルダウンの宿泊部屋のはずじゃ……今一度聞くが本当によいのだな?』


 ハカセが不意にそんなことを聞いてくる。


 決まっている。俺の答えは1つだけだ。


「やってやる。やってやるって決めたんだ。あの薄汚い下水道で誓ったんだ。復讐してやるってな……ハカセも聞いてたろ?俺の誓いは変わらないよ」


 そう言うとハカセは我慢していたものをふき出すように


『ククッ……ハハハハハハハハハハ!! そうじゃ、そうじゃったなぁ! それを忘れるとは……フッ、ワシも老いがひどくなったもんじゃなぁ!!』


 俺も自然と笑みがでる。


 ここからが……新たな"俺"の初戦だ!














 がんばる

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