第一話 ~衝撃~
僕は幸せだった。
いや、緩んでいたといった方がいいかもしれない。
あれが起きるまで。
ある日ふと外に出ようと思った。
空を見た。
限りなく白かった。
もうここでずっと見ていたいくらい白かった。
それからずっと経った。
その白に赤が邪魔をした。
あの赤、見覚えがあるような...
数秒経ってから、事の重大さに気づいた。
俺は反射的に家に入り、階段を駆け上がった。
その時のことはよく覚えていない。頭よりも体が先に行動したらしい。ただ、焦りと恐怖があったことは覚えている。
「大変だ!」
いきなりのことだったので、家族も驚いたようだった。
そう、あの赤は、この町に400年前にやってきたといわれる反乱軍が従えている竜だったのだ。本で読んだことがあった。どうして来たのかは、よく知らなかった。
「そうか...なら、あれを使うしかないか。」
それを聞いた祖父の第一声は、何か意味ありげだった。
「地下室に降りて、そこにある剣をとってきなさい。その剣は持っているときっといいことがある。」
聞いた瞬間に階段を駆け下りた。やはりその時は恐怖と焦りの感情があった。ただ、階段を上るときと違い、興奮もあったかもしれない。
爆発音のような大きな音を立てて地下室の扉を開けた。
そこには、衝撃の光景が広がっていた。
「嘘だろ...」
そう、剣なんてどこにもなかったのである。