最終話
『さあ、1対1で迎えた異世界女子サッカー決勝。【妖艶サキュバース】と【魅惑ラミアーズ】の試合は、あと一分でアディショナルタイムに入ります!!』
【魅惑ラミアーズ】の11番は長い尻尾を生かし、ボールを巧みに扱い相手のペナルティエリアに近づいていく。そこへ、【妖艶サキュバース】の4番、キャプテンが立ちはだかる。
【魅惑ラミアーズ】11番
「またお前か!? 何度私の邪魔をすれば気がすむんだ!!」
【妖艶サキュバース】キャプテン
「そう言われてもねえ……私の仕事は、お前に仕事させないことだから、お前が仕事しようとすれば、私は、何度でも仕事しに来るさ」
唇を噛みしめながら、【妖艶サキュバース】のキャプテンに勝負を挑む【魅惑ラミアーズ】の11番。【妖艶サキュバース】のキャプテンはしっかりとそれを迎えうつ。
11番は魅惑の尻尾でボールを右へ、左へと回すが、キャプテンは惑わされる事なく11番についていく。
残り時間の少ない中、固唾を飲んでふたりの闘いを見守る周りの選手達……。この闘いを制した方が、この試合を制すと言っても過言ではない。
残り時間をうまく消化するように、11番を翻弄するキャプテン。
少しずつ焦ってくる11番。
しかし……
11番は何を思ったか、ボールをポーンと後ろに押し出す。
「何!?」
その行動に一瞬、11番から目を離してしまうキャプテン。その隙に、11番は脇を抜けゴールへと駆け出して行く。
「し、しまった!!」
ボールの転がる先には、【魅惑ラミアーズ】のゴールキーパーが駆け出していた。ゴールキーパーは11番のパスをダイレクトで、浮き玉で11番に返す。
「とおすかああぁ!!」
懸命にボールに飛び込む【妖艶サキュバース】のキャプテン。だが、ボールは無情にも、彼女の後ろへ飛んでいく。
遂に【妖艶サキュバース】の牙城を崩した【魅惑ラミアーズ】の11番。彼女は、味方の作ってくれたチャンスを……この最後のチャンスをものするべく、身を捻り空中にあるボールに飛び付く。
周りの選手の視線は皆、彼女に一転集中する。
「うおおおおぉぉぉぉ!!!! このチャンス!! 絶対ものにするんだあああぁぁぁ!!!!」
『ガッツがたりない』
……終わらない。