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第2話 妹と二人旅で始まりの村へ

激怒したカノンに謝り倒して、なんとか事情を説明した。


女神にもらった中世のワンピース風の衣装を着たカノンは少し機嫌が直ったようだ。

スカートの裾をひらひらさせて満更でもない様子。

俺はなんとか生き延びた。あやうく開始早々終了となるところだった。


「お兄ちゃんが怪我しちゃうの私のせいでもあるみたいだし。仕方ないわね、付き合ってあげるわ。感謝しなさいよ。」


俺は苦笑した。

花音がショックを受けるといけないので、俺は少しだけ話を変えて大怪我をしたことにしている。


「でもさあ、本当にここでは時間の流れが止まってるんだよね。だったら教科書とか持って来れたらよかったのに。試験前だし。」


「ああ、そんなことでしたら簡単ですよ。」


女神ナリスはそういうと、空間から教科書を取り出し、にこりと笑った。

「他になにか必要なものはありますか?」


「なんだ、取り寄せられるんだ。じゃあね・・・・・。」


数分後、山のような荷物が積み上がっていた。


「お前なあ、いくらなんでも多すぎないかあ!?なんでベットまで持ってくるんだあ。」

「だっってえ、どれもこれも必要だしい。枕変わると眠れないしい・・。」

「服も一体何着持ってきてるんだ。だいたいなんで学生服がいるんだあ!。」

「そんな毎日同じ服ばっか着れないよお。それに学生なんだから学生服は必要でしょ?」

「学校がねえわあ〜〜〜!」


こんな荷物持って冒険なんかできない。だいたい持たされるのは俺である。

服は街で買ってやるからと騙して・・・、いや、説得して大きなバッグひとつぶんの量に減らさせた。

残りの荷物は女神の宮殿で預かってもらおう。


俺は女神に尋ねた。

「なあ、俺も私物って持って来れるのか。」

「残念ながら、あなたは無理なんです。」

ナリスは申し訳なさそうに言った。

「え〜、なんでだよ〜。」

「先ほどの妹さんの荷物で重量オーバーとなりまして、これ以上はもう。」

(飛行機かい・・・・)

「そこをなんとか・・・・。」

「申し訳ありません。」


押し問答の後、1個だけ持ってきていいという許可をもらった。


「ではそろそろ・・・・。」


女神ナリスはカノンに向けて杖をかざす。

って、いつの間に杖を?どっから出したの??さっきまで何も持ってなかったよね??


「こういうのは雰囲気ですから。」

と、ナリスは微笑み、俺とカノンは光に包まれた。


目が慣れると、そこは街の入り口

俺たちは、女神によってクルヌギアの街に運ばれた。

時間感覚が無くってわからなかったのだが、今は夜、だいたい8時といったところか。

入り口の門を見上げると

”ようこそ、始まりと終わりの街、クルヌギアへ”

と書かれていた。


たぶん異言語で書かれているのだろうが、読めるのだ。

文字も言葉もテレパシーのようなもので自動翻訳されて伝わるらしい。


街の中を見渡すと、中世風の街並みの中にオリエンタルな寺院やモスクまである。

それどころか、どうみても地球にはないような構造物まであったりする。

(せめて、エルフや猫耳くらいしかいませんように・・・。)

俺は心底願った。


「さあ、行くわよ!まずはギルドに行って、それから食事と寝るところを見つけなきゃ。」


テンション高めのカノンが俺の腕を引っ張って強引に歩き出す。

前のめりになりながら俺も歩き出した。

順応性が高いなあ。俺なんかまだ自分の置かれた環境に戸惑っているのに。

はて、そういえば、妹と手をつなぐなんて、いつ以来のことか?


街の中心部に近づくにつれて、人は増えていく。

俺たちのような人種が50%、残りは異人種(エイリアン)亜人種(デミヒューマン)だ。

ウサギみたいなやつやトカゲみたいなやつもいるし、どうみてもロボットにしか見えないやつまで。

おれはそのメタリックボディをマジマジと眺めてしまった。


「なにジロジロみてやがんだい。このスケベ野郎!!。」


失礼、女性でしたか・・・。



ギルドにはいると、奥の銀行の窓口のような受付に巨乳のお姉さんが座っていた。

よかった、人間だ・・・・。


「こちらにくるように言われたんだが。」


お姉さんは顔を上げて微笑んだ。


「ナリス様から伺っておりますわ。さあ、こちらに署名を。」

うっとりとするほど美しい声でお姉さんは僕に語りかける。

いかん、惚れてしまう。

後ろでカノンの鋭い視線を感じ、俺は正気を取り戻した。


お姉さんは羊皮紙のような紙を俺たちに差し出す。


「このギルドに登録することによって、あなた方は正式にこのゲームに参加したことになりますわ。」


俺とカノンはサインをした。


「はい、ありがとうございます。それではこれから1年間。頑張ってくださいませ。」


お姉さんが紙を丸めて地球儀のようなものに差し込むと、地球儀が輝き始めた。

どうやらこれで俺たちのことが登録されたらしい。


で、いったい何すりゃいいんだ?

「すまないが教えて欲しい。俺たちは何もわかっちゃいないんだ。それに腹が減っているし、とりあえずベッドでゆっくり休みたい。どうしたらいいんだろうな。」


お姉さんは両手で口を押さえて謝った。

「あら、いやだ。うっかりしておりましたわ。初心者さんには説明しないといけないのに。申し遅れましたが、わたくしセレンと申します。」

「よろしく、セレンさん。俺はカズヤ。こいつは俺の妹のカノンだ。」

「改めましてよろしくお願いします、カノンさん。カズヤさん。」


「まずはお食事ですが、昼間は街に市場がたちます。夜は酒場かこのギルドで召し上がるのが良いかと思いますわ。」

1回の食事でひとりだいたい銅貨10枚というところらしい。


「次に宿泊ですが、このギルドの上がホテルになっていますの。ご兄妹でしたらお一部屋でよろしいですかね。」


「ふた部屋で!」

妹が間髪入れずに答えた。


「わかりましたわ。では、()()()()()を2部屋で用意いたしますわね。宿代は一泊銀貨2枚になりますわ。」

銅貨100枚で銀貨1枚、銀貨10枚で金貨1枚だから、手持ち金で生活できるのはだいたい10日間か。

装備を買ったりすることも考えると1種間で金を稼がないといけないな。


「クエストと報酬の件は明日の朝ご説明しますね。」


「ありがとう。じゃあ食事の前にとりあえず荷物をおきたいので部屋に案内してくれ。」


「承知しましたわ。さ、こちらへどうぞ。」


セレンさんは立ち上がり、長いスカートの裾を引きずりながら俺たちをホテルに続く通路へと案内してくれる。


はて・・・・????


「あの、セレンさん。もうひとつだけ聞いていいかな。」

「はい、なんなりと。」

「その、スカートのしたからのぞいているのは・・その・・・。」


「ああ、おきになさらずとも私、歩き慣れてますのよ。」

セレンさんは明るくスカートの裾を少し捲った。


そこにあったのは艶々した、立派な尾びれだった。






さて、とりあえず第2話投稿です。ちょこちょこ矛盾が出るので、第1話も直しながら先へ。目指せ完結の日まで。

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