三日目 究極の力
予定より遥かに強くなってしまった・・・
グルゥォォォアァ!
と、相棒が力強く咆哮を上げる。
実際、俺は一週間ほどまえに、上位能力である召喚が、特殊能力である真の召喚士になったばかりで、相棒を呼ぶまでは能力がどう強くなったのか実感がわかなかった。けど、相棒を召喚したときに完全な成長を実感した。
嘗てはウォリアドラゴンだった相棒。破壊に魅了され、攻撃力特化の相棒だったが、慈悲や手加減はあったのだ。
しかし、能力の進化とともにデスドラゴンへと進化したことで、魔力が以前のくらべものにならない。そしてなにより・・・
残酷さが増した。圧倒的な力によって弱きもの全てを破壊する。無慈悲なる暴力の化身となったのだ。
その強さを試してみたいが、まだ国家軍事力にテロは起こせない。
だから誰にも必要とされていないようなやつを探していたのだ。
そしたら、能力を封印されているという何とも胡散臭いやつがいるらしい。あってみたが、ただの能無し、おまけに身体能力はほぼE。ため息が出そうだ。
ならば彼に実験台になってもらおうと考えた。
能力が解放されたら万々歳!俺のことを能力を解放してくれた恩人として強力な部下ができることになる。もし無理でも彼は誰にも必要とされてなさそうだったし、こちらにデメリットはない。
さぁどうなってるかなぁっと?
・・・だめだな、能力が解き放たれる雰囲気はない。先程からブツブツ何かいっているが、神にでも祈っているのだろう。だがデスドラゴンはそんなに甘くない。
デスドラゴンの必殺、デスブラストを放とうとしている。恐らく学校にいるやつらごと消し去るつもりだろう。まぁ、それくらいは許そう。能無しだからと、自分達が助かりたいからと簡単にクラスメイトを見捨てるようなやつらだ。ろくでもないやつらに違いない。
そして、完全に破壊エネルギーが溜まり・・・
『グルォォォゥァアァ!』
解き放たれた。
しかし、次の瞬間あり得ないことが起きたのだ・・・
◇◇◇
目の前でデスドラゴンのブレスが俺を襲いかかる。
が、とんでもなく遅い。それはそれは遅い。止まって見える。理由は単純で、思考加速千倍したからである。上限は一億倍まであるのだが、そんなに必要ないと判断した。
どうやら能力の封印が解かれたようなのだが・・・なんだこれ!?究極能力ってなに?!
そう。一般的に知られている能力は五つ。
【通常能力】
大半の人間がこの能力。被ることもある。縮地、身体強化などがある。
【上位能力】
稀に生まれてくる。通常能力より遥かに強力で、上位能力一人で通常能力百人分の力を持つと言われている。召喚などがある。
【最上位能力】
三千年に一人生まれるか生まれないかくらいの確率。圧倒的な力をもち、一人で国家軍事力を圧倒できる。超強防御などがある。
【特殊能力】
大半が上位能力から進化して生まれる。持ってる人物は選ばれたもので、被ることはない。真の召喚士、絶対防御などがある。
【固有能力】
特殊能力同様、生まれ持ってくると言われている。
が、実際発見例はなく、二万七千年前に使われた形跡があるとして都市伝説みたいになっている。
世界には知られていないが、圭太の無限がある。
これが、世間で知られている基本だ。だが、固有能力は一部のマニアしかしらないため、実質知られているのは4つである。また、最上位能力は前国王がもっていたので日本ではよく知られているが、世界では知られている国は少ない。
ましてや、究極能力《アルティメットスキル》なんぞ記録すら残っていない。初めて聞いたものだ。
だが、これだけはわかる。
最上位能力なんぞ霞んでしまうどころか、最上位能力ごとき何人来ようと怖くないほどの力を感じる。断定できる。
というより、先程聞いた声はなんだったんだろう?
《究極能力【叡智之王】の効果であるサブブレインです。能力を通して会話が可能になっています。今は【絶対神】に統合されましたが、効果は使用可能です。
絶対神の効果は以下のようになっています。
【時空間完全支配】・・・時間および空間を完全に支配することができる。
【暴奪】・・・対象を奪うことができる。防御された場合は効果無し。しかし、【絶対滅殺】により、対象の防御という概念を滅ぼすことにより確実に奪うことができます。
【絶対滅殺】・・・対象を滅殺することができます。物質、概念、法則、精神、魔力、能力など、この世の全てにおけるものを滅ぼすことができます。
【究極之叡智】・・・サブブレイン。第二の自分として活躍する。森羅万象、神速演算、思考加速、記憶操作などができます。また、自動思考も兼ね備えています。
【覇界】・・・自分だけの空間を作ります。【時空間完全支配】と組み合せ、【絶対世界】をつくることができます。
【創世】・・・自分の作りたいものを創ることができます。能力、魔法、物質、法則、概念、全てを創る、もしくは作り替えることができます。
以上が絶対神の能力です。
また、マスターの固有能力である無限は以下のとおりです。
【無限】・・・あらゆるものを無限にすることができる。主に、魔力や結界の耐久力を無限にするなどの使い方があります。
以上です。これからもよろしくお願いします、マスター。》
うん、理解が追い付かねぇ。究極能力はなんなんだよ!?
《選ばれしものだけが手にいれることのできる能力です。もちろん重複することはありません。究極能力にも差がありますが、最弱でも単純計算で最上位能力の30倍の力は軽くあります。》
な、なるほど・・・
ざっくり聞いてみて、なんとなくわかったが、強すぎないか!?俺はただこんな世界どうにでもなれぇー!って思っただけなのだが、それで封印が解放されて・・・そこまで強かったのか・・・
というかあいつ最低だな。俺のことをストレス発散のために殺そうとしたのか。しかも学校ごと。
俺はあいつがそんなことを考えていたときは能力が解放されてなかったのだが、究極之叡智の記憶操作によってあいつの記憶回路を辿ってみたのだ。あいつを殺すのは確定だが、まずは目の前のデスドラゴン。
とりあえず、今吐き出そうとしている破壊エネルギーを滅ぼす。すると・・・
グルォォォゥァアァアあぁ・・あ?
と、ドラゴンが困惑している。そりゃそうだ。自慢の技が綺麗さっぱり消滅したのだからな。
「な、なに!?なにがおきた!?」
空では困惑の声が聞こえる。あいつうるせぇな。そう思いながら、あいつを対象にしてあいつから音という概念を滅す。
「・・・・!?・・・!・・・・!!!」
表情からしてなにか焦りながら叫んでいるが、すまんな、生憎聞こえないよ。声ではなく、音自体をあいつから消したので、聞こえないし喋れないという感じなのだろうな。
レイスと・・・彼女(仮)に聞こえるように大声で、
「能力のぉ!封印がぁ!解かれたぞぉ!」
と言ってみる。
そして、目の前にそびえ立つ壁のような凶悪なフォルムのデスドラゴンの・・・
『存在』を滅ぼす。
召喚は特別で、最初に呼んだやつがパートナーとなる。強かったり弱かったりするが、弱くてもペットのように可愛がるため、捨てるなんてことはない。こいつはドラゴン。召喚獣の中でも最強クラス。
召喚獣にも体力はあるが、倒されても一日くらいたてば再召喚することができる。なぜなら生命を持たないからだ。それでも知能はあるし、感情もある。召喚士がどんなに雑魚でも裏切ったりすることはできない。それが召喚。
しかし、その召喚獣の存在自体を消し去ってしまえば?そいつは消え、二度と現れない。
おそらく滅ぼしたため転生もできないはずだ。
デスドラゴンは、まるで燃え尽きたかのように灰となって崩れ去っていく。そして、欠片も残さず消滅した。
「う、うそでしょ・・・ユウキのデスドラゴンが・・・」
「え!え!?デスドラゴン倒されたにゃ!?」
「!?―――!!!!!!」
そして、やつらの前に瞬間移動する。
「・・・・?・・わっ!?」
「どうしたにゃ?あれ?あいつどこいっ・・・にゃ!?」
「!!!」
「どーも、よくもまああんだけ語っといて殺そうと思えるなぁ?挙げ句のはてには強力な部下だと?俺には殺されたいとしか聞こえねぇんだよなぁ!」
そういってボス(仮)を殴る。
・・・思ったより強く殴りすぎた。殴ったら、音速を越える勢いで吹っ飛んでいき、学校の二回に直撃した。学校の一部が吹き飛ぶ。
近くに瞬間移動してみたんだが・・・
「あっすまん・・・死んじゃったのかよ今ので・・・」
「え!?ユウキ!?」
「ぼ、ボスぅ!!」
「ゆ、許さない!能無しの分際で!」
思いっきりブーメランだが、レイスの殴りを対象にして、ダメージを滅ぼす。
おそらくおもいっきり殴ったようだが、俺には当たった感覚すらない。
「な、なんなの・・・?あんたの能力って・・・」
「それは・・・」
と、一拍おいて答える。
「究極の力だ。」
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