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「たっだいまぁ~」
「ただいま帰りました」
「お帰り、ハズミ、マミヤ」
出迎えたのは、怒り顔のマカだった。
「わっ! マカ、早かったね」
「何だか悪寒がしてな。…お前、何か言ってただろ?」
「えっ…」
ハズミは助けを求めるべく、マミヤを見た。
しかしマミヤは呆れ顔で首を横に振るだけ。
「ごっゴメン! ちょっとウワサを…」
「どーせロクなウワサじゃないんだろうがっ!」
ゴンッ!
「いってぇええ!」
頭にゲンコツをくらったハズミは、うずくまった。
「己のバカさ加減を恨め!」
そう言ってマカはハズミから箱を取り上げ、ソウマに渡した。
「あっ、そうだ。マカに報告が…」
マミヤは例の男性のことをマカに告げた。
しかしマカは無表情でイスに座り、ミルクティ―を飲んだ。
「―ほおっておけ」
「えっ、でも…」
「やっぱな」
ハズミはやっぱりというように、肩を竦めた。
「そんなのは世の中にうじゃうじゃいるんだ。いちいち相手にしてたら、キリが無い」
「でも人に害を…」
「それもよくあることだ。―まっ、私の付近で暴れたら話は違うがな」
「でもさ、こうなって分かったんだけど、世の中にはモノがたくさんいるんだね」
急にハズミが笑顔で言った。
「中々知り得なかったことを知って、今日は楽しかったよ」
「そりゃ良かったな。…だがお前らにはもっと知ってもらわなければならないことがある。知識は貪欲に食らいつけ」
「分かってるよ♪ マカには恩があるしね。役に立ってみせるよ」
「…そうだな。借りは返す」
そう言った二人の目は、血の色のように赤く染まっていた。
【終わり】