約束の答え
「結婚してくれる?」
「……嘘。覚えていてくれたの」
藍里は目を輝かせた。淳が「大きくなったらお嫁さんにしてあげる」と約束してくれたのは、今から二十年も昔、七歳の頃の話だ。
「返事は『イエス』?」
ほとんど頷きかけた藍里に対して、淳はこう続けた。
「じゃあまず、相手を探そうか」
「は?」
藍里は耳を疑った。
「式場は俺が抑えるから。バリ婚とか流行ってるけどどう? シーズンオフなら格安プランもあるよ」
あれから二十年。
淳はウェディングプランナーになっていた。
「……とりあえず、一発殴っていい?」
と、藍里は尋ねた。
藍里が結婚したのはその一年後、淳とは別の男性とだった。
「約束は守ったよ」と胸を張る淳に、藍里はもう一発鉄拳をお見舞いした。