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第9話

「何も見えねえ……」

 次の部屋は何と真っ暗。

 まさに「一寸先は闇」の状態であり、手探り状態で歩き回るのは危険極まりない。

 例えばこの暗闇の中に大型の魔物が潜んでいるとか、ただ単に行き止まりなだけなのか、あるいはまた別の何かがあるのか。

 それでも、この扉が開いたと言う事はこの先に進めると言う事なのだろう。

「とにかく進んでみるしか無さそうだな……」

 本当に何があるか分からないので、ここは将棋で培った先読みの能力を駆使して慎重に足を踏み出してみる孝司。


 しかし、踏み出した右足に設置感が無い。

「え……?」

「おい、危ない!」

 後ろで孝司の動きを見ていたケンヴィが、右手を伸ばして孝司の白いジャケットの襟を掴んでグイっと引き戻した。

「うおうおうおっ!?」

「良く聞いてみろ……風の音がする」

「ん……?」


 ケンヴィにそう言われて耳を澄ませてみれば、確かにヒュウウウウ……と風の抜ける音が下から聞こえて来る。

 その音が指し示す状況は、つまり……。

「お、おいもしかしてこの部屋って……」

「ああ、この部屋は大きな穴が開いているらしいな」

 非常に困った事になった。

 ケンヴィの言う事が本当だとすれば、この部屋をどうやって抜ければ良いのかと言う事になる。

「なぁ、あんた明かり持ってないか? 前に俺の身体に触っても大丈夫なのかとか何とか言ってたから、何かそう言うシステムあるんじゃねえのか?」


 しかし、ケンヴィは首を横に振る。

「俺の体内には電気がある。だが今は出せない。そもそもラスタンが一緒じゃなかったら電気は出せないんだ」

「……どう言うシステムなんだ、それは……」

「しかも出せたとしても雷だから役に立たんぞ」

「うー……どーすりゃ良いんだよ、くそっ!!」

 さっぱり意味不明のシステムに苛立つ孝司は、固く握った右の拳でドアの近くの壁を殴りつける。


 するとその瞬間、部屋全体がパアッと明るくなった。

「お……っ!?」

 自分が殴った拳の場所を振り向いて確認してみると、そこには丸いスイッチがついている。

 どうやらこの部屋にはきちんと明かりがついていた様で、しかも部屋全体がしっかりと照らし出される程の照明らしい。

「うっしゃ、これは助かったぜ!!」

 再度前を向いた孝司の目の前には、確かにポッカリと地面が大きな口を開けている……が、ちゃんと狭い通路が橋となって部屋の奥まで続いていた。


 だが、感激の1歩を踏み出した途端。

「……え?」

 フッといきなり部屋の明かりが消えてしまい、部屋の中は再び真っ暗に。

「ちょっ……おい、また真っ暗だよ!!」

 かと思えばまた明かりがついた。

「……どうやら、不完全な照明設備らしいな」

「誰か新品と交換しろや!!」

 切れかかった電球の様に、チカチカして暗闇になるのと明るくなるのが交互になる中で進まなければいけないらしい。


 そこで再びケンヴィの出番である。

 彼は翼を自由自在に出せるので、空中から孝司に指示を出してナビゲーションの役割をする。

「後3歩前に進め。……良し、そこで右を向け」

 通路を踏み外したら命は無いので、ケンヴィの声に耳を傾けながら孝司は慎重にチカチカする通路を渡り切った。

「は~~~~っ、あー、しんどかったぜ……」

「ご苦労さん」


 何とか最後まで渡り切った孝司だったが、ここである事に気が付く。

「……ってかさ、俺があんたの背中に乗せて貰えば良かったんじゃねえの?」

「そう言えばそうだな」

「何だよくっそー!! 自分だけ翼があって楽出来て良いよなぁー!!」

「そんな事言われても仕方が無いだろう。さぁ、さっさと先に進むぞ」

 とにもかくにもこうしてケンヴィの協力があり、孝司は2つ目の部屋も抜ける事に何とか成功した。

 部屋の奥にある扉の向こう側はしっかり明かりがついており、地下へと降りて行く螺旋階段になっている。

 そして、その先で孝司は思い掛けない物を目にする事になった!!

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