第8話
その痛めた腹のジンジン感がまだ収まらない内に、ようやくお目当ての遺跡が見えて来た。
深い森の中にあるだけあって、流石に異質な雰囲気が漂っている。
ケンヴィの言っていた通り、周りは木々で覆われているのでそのまま空からのアプローチも出来ないこの環境では、確かに徒歩で進んで来るしか無さそうだった。
「うひゃあ……こりゃひでえな」
そして遺跡の出入り口周辺には、お宝目当てでこの遺跡にやって来た人間や獣人、それから人獣の死骸や骨が残されている。
「この森は一見するとそこまで広くは無い。だが、一緒に来たから分かると思うが内部はかなり入り組んでいたので迷ってしまって、そこを魔獣に襲撃されて命を落とした者も居るらしい」
「となるとここまで来るのにも命懸けで本当に油断が出来そうにねえ場所って事だが……つまりは俺達はついてるってこったな」
自分達の幸運に感謝しつつ、まるでマンホールの様にポッカリと穴を開けている遺跡の位出入り口を見据える。
四角く形どられたその出入り口は、まるで地獄へと自分達を導いている様である。
それでもここまで来てしまった以上もう戻れない。後戻りする余裕なんて無い。
「おーし、迷いは捨てたぜ。こうなったらただまっすぐに突き進むだけだ!!」
「……熱くなるのは構わんが、油断するなよ」
拳を打ち合わせて、ズンズンと遺跡の出入り口に向かって歩き出す孝司を何処か冷ややかな目で見つめつつ、ケンヴィもその後を追い掛けて歩き出した。
◇
遺跡の中はそれなりに調査が入っているらしく、壁にランプが取り付けられて明かりがあるだけまだマシだった。
「さってと、中に入ったのは良いが……確かケンちゃんは謎解きがどうのこうのって言ってたよな?」
「ああ。と言っても俺もそこまで詳しくは知らん。謎解きが進まなくて先に進めないから断念する冒険者が多いって話だったぞ」
もはやケンちゃん呼ばわりされてもスルーする事を決めたケンヴィからそう聞いた孝司は、だったらその遺跡の謎を見に行ってみようと更に先に進み出す。
すると、早速最初の関門が姿を現した。
「これが最初の謎解きか?」
2名の目の前に現れたのは鉄製の大きなドア。
そのドアを開けて部屋の中に入ってみると、そこには床から丸い出っ張りが幾つもあるでは無いか。
「どうやらそうらしい……けど、これは何なんだ?」
部屋の中をじっと見据える2名だが、悩んでいても始まらないのでとりあえず出っ張りを避けつつ部屋の奥にあるドアに向かってみる。
しかし、ドアはビクともせずに全く開きそうに無かった。
「んー、駄目だな。この出っ張りに何か仕掛けがあるって事か?」
そこで孝司がその出っ張りの1つに乗っかってみる。
するとガコン、と音がしてその出っ張りが床の中に入り……更にその隣り合っている3つの出っ張りも一緒に沈み込んだ。
それを見たケンヴィがある事に気が付く。
「あれ……ちょっと待てよ、これってもしかして……」
ケンヴィはある事を思いつき、出っ張りの数を数えた後にその法則性に気が付いた。
「分かったぞ孝司、全ての出っ張りを地中に沈めるんだ」
「え? あ……そうか、そう言う事か!!」
要するに、この出っ張りは隣同士が繋がったスイッチになっている。
このスイッチを全て地中に沈めれば良いんじゃないか、とケンヴィは気が付いたのだ。
「じゃあここを今押したから、次はこっちで……それで次はこっちだな」
「最後に俺がここを押せば……良し、これでどうだ?」
ケンヴィが最後のスイッチに乗った瞬間、ゴゴゴ……と音を立てて部屋の奥の扉が開いた。
「うっしゃ、やったぜ!!」
「さぁ、先に進むぞ」
見事1つ目の仕掛けを連係プレイで通り抜ける事に成功したが、次の部屋もまた大変そうだった。




