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第6話

「そう言えば、このクフトーって町から北の方に行った所にある深い森の中に、朽ち果てた遺跡があるって話だったな。何でも近頃冒険者の間では有名になっていて、色々とお宝が眠っているらしい」

「そうなのか? だったらそこに行ってみようぜ!」

 見えて来た希望に目を輝かせてそう促す孝司だが、ケンヴィは渋い顔になった。

「いや……それがだな、その遺跡の中には色々と謎な部分が多いらしくて謎を解かないと先に進めないらしいんだ。それを解けるか?」

 そう聞かれた孝司だったが、少しでも希望があるのなら行ってみるしかないと腹を括った。

「解けるか解けないかじゃねえ、そこまで言うなら解くんだよ。もしそれで俺が栗山とか博人とかみたいに地球に帰る事が出来たらそれで俺ともおさらばなんだから、そっちにしたって良い話じゃねえかよ」

「まぁ、それはそうだな」

「少しは否定しろよ!」

「……面倒臭い人間だな。まあ良い、さっさと行くなら行くぞ」


 と言う事で酒場に荷物を一旦預けたケンヴィは、しぶしぶ孝司を背中に乗せてその遺跡まで空中を飛ぶ事にした。

 本当であればラスタン以外の誰も乗せたくないのだが、この非常事態(?)だしこれっきりの関係になる予定なので我慢するしか無いと彼も腹を括ったのである。

「おー……すっげえ、高けえなあ!!」

 飛行機は何度も乗った事があるが、飛行機は頑丈な期待に囲まれていて外との空気はシャットアウトされている。

 しかしこのケンヴィの背中に乗せて貰っている間は、生身で空中の風を感じる事が出来ているのだからまさに異次元体験である。


 その一方で、ケンヴィには先程から何か心に引っ掛かっている事があった。

 それは孝司との会話だ。

(そう言えばこの男、さっき何だか気になる事を話していた様な気がするぞ?)

 孝司のセリフの中で凄く引っ掛かる様な話が出て来ていた気がするが、今の背中に乗られている気持ち悪さが考える事を邪魔して来る。

(まあ良い、何時か思い出せる時が来るだろう)

 とにかく今は、こんな中年の男を背中に乗っけている気持ち悪さから一刻も早く解放されるべく、ケンヴィはその情報を基にして遺跡へと翼を動かした。



 ◇



「さて、ここからは歩きだ」

 問題の遺跡は確かに深い森の中にあるらしく、上空からのアプローチは木々に遮られていて無理だとケンヴィは判断して、森の出入り口から歩いて遺跡へと向かう事にした。

 確かにその遺跡に向かって足跡が幾つもついているので、余程大勢の人間や獣人がこの遺跡目当てにやって来ているらしい。

 だがそれよりも、孝司にはもっと気掛かりな事があった。

「この世界って人間以外人あんたみたいな馬と人間の合体した生物とか居るんだろ? だったら魔物とかも居るのか?」

 ケンヴィは首を縦に振った。

「ああ、居る。特にこうした森の中は夜になるにつれて魔獣が出やすいからな。完全に陽が暮れる前にその遺跡に行かなければ魔獣の餌食になっても文句は言えん」


 地球でも夜になるにつれて動物の動きが活発になると言う話は聞くし、自分の地元の群馬でもイノシシ、サル、ツキノワグマ等の野生動物の被害の話は聞いた事がある。

 その辺りは地球でもこのエールディンでも変わらないんだなーと妙に感心している孝司の横で、ケンヴィが唐突に口を開いた。

「……思い出した」

「え、何が?」

「さっきの御前との会話の中で、栗山って男とまた別にもう1人……ヒロト? だったか。その人間もまた御前と知り合いなのか?」

「あ……博人って俺言ってた?」

「ああ、俺にはハッキリそう聞こえたぞ」

 もしかして無意識の内に博人の名前を出していたのか、と孝司は自分の記憶を辿ってみるが、聞かれてしまったからには説明するしか無いだろうとまた腹を括った。

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