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第5話

「栗山……えっ、ちょ、ちょっと待ってくれ。栗山って言ったか今?」

「ああ、言ったが」

 その名前だけなら日本人の中に幾らでも居るし、このエールディンと言う世界の中にも居るかも知れない。

 しかし、孝司が引っ掛かったのはその栗山と言う人物の経歴である。

「世界中を旅していたって言う、栗山……それにあんたの仲間の言っていた事が本当だったら、素手でかなり強いって奴には確かに心当たりがあるけどよぉ……」

 そこまでブツブツと呟いた孝司は、その瞬間ハッとした顔つきになる。

「なぁ、その栗山って奴と一緒に行動していたのがあんたの仲間なんだよな?」

「そうだ」

「もしかしてさ、その仲間ってラスタンって言う男じゃないのか? 茶髪の……」


 その問いに対して、ケンヴィは何処か納得した表情を見せて頷いた。

「もしかして、その栗山って奴と御前は知り合いか?」

「……ああ、そうに違いない。俺は栗山祐二って奴から、エールディンって異世界に行ったって話を聞いたんだ。それでさっきあんたが話をしていた盗賊関係の情報も、ラスタンって男と一緒に壊滅させたって話を聞いたんだよ。……あいつもまさかこの世界に来ていたのか……」

「で、御前とその栗山って男はどう言う知り合いなんだ?」

「昔からの知り合いだよ。もうかれこれ……そうだな、18年とかそんなになるのかな。俺の世界……ああ、さっき言った地球ってのが俺の世界なんだけど、地球だと2018年の10月だから……ああ、やっぱ18年だわ。それ位長い付き合いのある奴だよ、栗山ってのは。傭兵として世界中を旅していたって言ってるし、色々な国の軍人と一緒に戦っていたって話だからあいつは確かに強い。流石に現役の軍人には敵わなかったけど、それでも戦場のスペシャリストってのには変わりねえな」


 一気に栗山の事を話し終えた孝司だったが、ふと我に返ってみると自分もどうにかしてこのエールディンから地球に帰らなければならない事を思い出して一気にテンションが下がり始める。

「あー……そういや俺もこのエールディンって世界に来ちまったから……どうにかして地球に戻んねえといけねえんだよな。なぁ、あんたこの世界の住人……住馬か? まあどっちでも良いか。この世界に詳しいんだったら栗山みたいなそう言う元の世界に戻ったって言う遺跡の話、知らねえか?」

 良く喋る男だな……とケンヴィは心の中で呆れつつも、あいにくその遺跡がある場所から今のこのクフトーはかなり遠いので首を横に振る。

「知ってはいるが、ここからではかなり遠いぞ」

「そこはあんた、飛べるんだから俺が背中に乗せて貰って……」

「断る。俺は買い出しに来たと言っているだろう。確かに御前を監視するとは言ったがそこまで遠くに付き合ってられん。それにその遺跡に行ったからと言って、御前が確実にその地球とやらに戻れる訳でもあるまい」


 落ち着いた口調でそう言われ、それもそうか……と孝司は考え込む。

「んー、だったらよぉ、このクフトーって町の近くにそう言った遺跡みたいな場所があるとかって知らねえか? 栗山も、それから博人って奴もエールディンから帰って来る時に魔法陣がどうのこうのって話をしていたから、俺ももしかしたらそうした遺跡の魔法陣に関係して地球に帰れるかも知れねえからよ。だからケンちゃんが知っている情報なら何でも良いから教えてくれ」

「その変な名前で呼ぶな、気色悪い!」

 ここまで馴れ馴れしくされる覚えも無いので、さっさとその地球とやらに戻ってほしいのがケンヴィの本音である。

 だが、そんな遺跡の話なんてそうそうある筈が無い……と思っていたその矢先に、ケンヴィはある事を思い出した。

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